2021 Fiscal Year Research-status Report
Depolarization-induced contraction of vascular smooth muscle via novel RhoA/Rho-kinase activation.
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19K07108
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三田 充男 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (50211587)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血管平滑筋収縮機構 / カルシウム感受性亢進機構 / 低分子量Gタンパク質 / Rhoキナーゼ / Pyk2 / RhoGEF |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット尾動脈平滑筋におけるCa2+依存性proline-rich tyrosine kinase 2 (Pyk2)を介したRhoA/Rhoキナーゼ(ROK)活性化による新たな血管平滑筋収縮調節機構を解明し、新たな作用機構を持つ循環器系疾患治療薬の創薬につなげることを目的とし、研究実施計画に基づき遂行した。2021年度は以下のことを明らかにした。 (1) 2020年度に得られたリアルタイムPCRを用いた解析により、現在まで血管平滑筋で報告があるRhoGEFのp115-RhoGEF、Arhgef2、PDZ-RhoGEF、LARG、Ap114-RhoGEF、p63-RhoGEF の6種の遺伝子が尾動脈平滑筋に発現していることを明らかにした。そこで、2021年度はこれらRhoGEFのタンパク質発現量をウェスタンブロット法を用いて検討したところ、p114-RhoGEFは他のRhoGEFに比べて多く発現していたが、一方でp115-RhoGEFやPDZ-RhoGEFは非常に少なかった。 (2)尾動脈平滑筋における60 mM K+収縮に対するRho阻害薬であるRhosin及びY16の効果について検討した。Rhosinは細胞内でRhoAのRhoGEF結合ドメインに結合してRhoAの活性化を抑制する。Y16はRhoGEFの選択的阻害剤であり、p115-RhoGEF、LARG、PDZ-RhoGEFのDH-PHドメインに結合し、RhoA活性化を抑制することが報告されている。60 mM K+収縮はRhosinにより濃度依存的に抑制され、その抑制効果は特に収縮の持続相において強く現れた。一方で、Y16によってはほとんど抑制効果が見られなかった(第63回日本平滑筋学会総会(2021)において発表)。 以上の結果より、タンパク質としての発現量が少なかったY16に感受性のp115-RhoGEFやPDZ-RhoGEFは、Ca2+によるPyk2を介したRhoA/ROK活性化機構への関与が低いと考えられる。Y16に対して感受性が低く、タンパク質発現量が多いp114-RhoGEFがCa2+によるPyk2を介したRhoA/ROK活性化機構に関与する可能性が初めて示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年3月からのCOVID-19の蔓延により、大学内での研究活動が度々制限されたため、当初の研究実施計画より遅れが出ている。しかし、実施計画に従い、尾動脈血管平滑筋において6種類のRhoGEFに関して、リアルタイムPCRを用いた遺伝子レベルおよびウェスタンブロット法を用いたタンパク質レベルでの発現を明らかにした。さらには、Rho阻害薬Rhosin及びRhoGEF阻害薬Y16を用いて、Ca2+流入によるPyk2活性化を介した Y16非感受性RhoGEF/RhoA/ROK活性化機構の可能性を明らかにした。しかしながら、計画のメインでもあるPyk2と相互作用するRhoGEFに関しては詳細の検討が不十分であったため、期間延長を願い出て承認された。現在、免疫沈降法を用いてPyk2と相互作用するRhoGEFの解析を進めており、ある程度ターゲットとすべきタンパク質も絞られてきた。延長した今年度は感染防止に注意を払いながら研究成果を得られるように実施計画に基づいて研究を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)免疫沈降法を用いて、高K+刺激後のリン酸化されたPyk2と相互作用するRhoGEFを同定する。 (2)(1)結果で明らかになった情報伝達系に関与するRhoGEFをsiRNA導入によりノックダウンあるいは各遺伝子導入により過剰発現させたヒト冠状動脈平滑筋細胞(Human Coronary Artery Smooth Muscle Cells)を用いて、高K+刺激によるPyk2リン酸化、RhoA活性化、MYPT1リン酸化及びミオシン軽鎖リン酸化一連の情報伝達の変化について検討し、どのようにCa2+依存性Pyk2活性化がRhoA/ROK経路を導くかを解明する。また、この情報伝達系を阻害する薬物の効果を検討し、最も有効な薬物を探索する。 (3)2019年度の研究より、Pyk2と共役しRhoAの活性調節(RhoGEFの活性化)にPI3Kが関与する可能性も考えられた。そこで、関与するPI3Kアイソフォームについて リアルタイムPCR法、ウェスタンブロット法及び免疫沈降法を用いて検討し、PI3K、Pyk2、RhoA活性化までの情報伝達機構について明らかにする。 以上の研究により、血管平滑筋におけるCa2+依存性RhoA/ROK活性化に関係するPyk2を介した新しい情報伝達機構が解明でき、さらには、血管平滑筋の緊張を調節する従来から用いられている受容体遮断薬やチャネル阻害薬のような膜タンパク質に作用する既知の薬物とは異なる新たな作用点をもつ薬物を探索することができる。そして本研究により得られた結果を取りまとめ、学会及び論文等でこの成果を公表する。
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Causes of Carryover |
2021年度は実施計画の最終年度であったが、COVID-19蔓延の影響もあり、研究を度々中断せざるを得ない状況で、研究も計画通りには進行しなかった。そのため、1年間期間延長を願い出て承認された。また、ほとんどの学会がオンライン開催だったため、学会参加のための旅費等の経費をほとんど使用しなかった。そのため、残りの助成金は2022年度に繰り越し、実施計画に基づき研究を遂行し、成果を論文や学会で発表すべく準備をしている。
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Research Products
(3 results)