2022 Fiscal Year Annual Research Report
Depolarization-induced contraction of vascular smooth muscle via novel RhoA/Rho-kinase activation.
Project/Area Number |
19K07108
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
三田 充男 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (50211587)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カルシウム感受性亢進機構 / 低分子量Gタンパク質 / RhoA / Rhoキナーゼ / Pyk2 / RhoGEF / RhoGAP |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット尾動脈平滑筋におけるCa2+依存性Pyk2を介したRhoA/Rhoキナーゼ(ROK)活性化による新たな血管平滑筋収縮調節機構を解明する目的で、2022年度は以下のことを明らかにした。 (1) Ca2+イオノフォアであるイオノマイシン(Ion)刺激による持続収縮とLC20リン酸化に対する各阻害薬の効果を検討した。ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)阻害薬であるML-9はIon収縮の初期相(4 分後)及び持続相(30分後)ともに抑制した。一方、ROK阻害薬HA-1077、Pyk2阻害薬サリチル酸ナトリウム(SS)及びPF-431396は持続相のみを抑制し、カルモジュリン阻害薬W-7は収縮の初期相のみを抑制した。Ion刺激によるLC20リン酸化増加は各阻害薬とも収縮反応と同様の抑制傾向を示した。以上の事より、Ion刺激による収縮の初期相は、[Ca2+]i上昇によるMLCKの活性化により生じ、一方、持続相においてはカルモジュリンを介さず直接Ca2+によるPyk2活性化によってRhoA/ROK系を介した収縮が発生すると考えられる。 (2) 尾動脈平滑筋で存在を確認した6種のRhoGEF及び2種のRhoGAPについて、高K+刺激時におけるリン酸化Pyk2との相互作用を免疫沈降法により検討したところ、RhoGAP42が相互作用することが確認され、これはSSにより抑制された。さらにRhoGAP42は高K+刺激によりTyr792チロシンリン酸化が生じ、SSによって抑制されることを見出した。以上の事より、Ca2+によるPyk2活性化を介したRhoA/ROK系活性化機構にはRhoGAP42リン酸化が関与することを初めて明らかにした。
以上、補助事業期間全体を通じて実施した研究結果より、血管平滑筋の収縮の持続相においては、細胞外から流入したCa2+がPyk2を活性化し、RhoGAP42をチロシンリン酸化することで、その活性を阻害し、相対的にRhoGEF活性を上昇させる可能性を見出した。結果的にRhoA/ROK系の活性化が生じ収縮が発生するという、Pyk2によるRhoA/ROK系を介した新たな収縮機構を明らかにした。
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