2020 Fiscal Year Research-status Report
PACAPシグナルを標的としたストレス性精神疾患への治療薬開発と発症機序の解明
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19K07121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
早田 敦子 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 助教 (70390812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (30240849)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | PACAP / 精神疾患 / ストレス / 治療薬開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新規に開発された非ペプチドで低分子のPACAP受容体アンタゴニストが、不安やうつ病などのストレス性精神疾患の新たな治療薬になりうる可能性を行動薬理学的手法などを用いて検討し、精神行動の改善効果が認められた場合には、その改善作用につながる脳領域や関わる分子を探求することで、精神的なストレスが病態を引き起こす発症メカニズムの手掛かりを見出すことを目指す。 令和2年度は、以下の研究成果を得た。 1) 定常状態の野生型マウスに対して、既存薬等と新規PACAP受容体アンタゴニストの行動薬理学的な比較検討を行った。その結果、PACAP受容体アンタゴニストは、Y字迷路試験による作業記憶や、新奇物体認識試験における視覚的な認知記憶には、影響しないことが明らかになった。また、ケタミンに認められるような聴覚性驚愕反応障害や、自発運動量の一過的な増加など有害事象を示さずに、病態時にのみに有効な薬理作用を発揮する可能性を示した。 2) 慢性的な精神的ストレスを負荷したマウス(慢性的社会的敗北ストレスマウス、長期隔離飼育マウス)を用いて、PACAP受容体アンタゴニストの行動薬理学的検討を行った。その結果、PACAP受容体アンタゴニストは、ストレス負荷により生じた不安様行動の増加、うつ様行動を抑制することを明らかにした。また、うつ様行動に対しては、単回投与にて即効性かつ持続的な改善効果を示すことが明らかになった。 3) 高速高精細全脳イメージングシステムFASTを用いたPACAP受容体リガンド投与マウスにおける急性または慢性ストレス時の神経活動の画像を取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画した行動実験やに関して、当初の予定通り進展できた。 既存薬との行動薬理学的な比較や、慢性的な精神的ストレスを負荷したマウスにおける不安様行動やうつ様行動、認知機能に関する行動薬理学的検討など、計画通りに遂行できた。 また、高速高精細全脳イメージングシステムFASTを用いたPACAP受容体リガンド投与マウスにおける急性または慢性ストレス時の神経活動の画像取得も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
高速高精細全脳イメージングシステムFASTを用いて取得した画像から、神経活動の全脳解析を実施し、どの脳領域において、ストレス時と改善時の神経活動の変化が認められるか、詳細な検討を行う。 また、PACAP-Creマウスを用いたり、見いだされた脳領域において神経活動操作を試みることで、PACAPシグナル依存的にストレス応答に関わる重要な領域、投射経路を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスウイルス感染症の拡大により、参加予定だった学会や国際学会や、共同研究者との打ち合わせのための出張が中止になったことから、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Intranasal oxytocin administration ameliorates social behavioral deficits in POGZ WT/Q1038R mouse model of autism spectrum disorder.2021
Author(s)
Kitagawa K, Matsumura K, Baba M, Kondo M, TakemotoT, Nagayasu K, Ago Y, Seiriki K, Hayata-Takano A, Kasai A, Takuma K, Hashimoto R, HashimotoH, Nakazawa T.
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Journal Title
Molecular Brain
Volume: 14(1)
Pages: 56
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Lipocalin-type prostaglandin D synthase regulates light-induced phase advance of the central circadian rhythm in mice.2020
Author(s)
Kawaguchi C, Shintani N, Hayata-Takano A, Hatanaka M, Kuromi A, Nakamura R, Yamano Y, Shintani Y, Nagai K, Tsuchiya S, Sugimoto Y, Ichikawa A, Okuno Y, Urade Y, Hirai H, Nagata KY, Nakamura M, Narumiya S, Nakazawa T, Kasai A, Ago Y, Takuma K, Baba A, Hashimoto H.
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Journal Title
Commun. Biol.
Volume: 3(1)
Pages: 557
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Activation of the VPAC2 receptor impairs axon outgrowth and decreases dendritic arborization in mouse corticalneurons by a PKA-dependent mechanism.2020
Author(s)
Takeuchi S, Kawanai T, Yamauchi R, Chen L, Miyaoka T, Yamada M, Asano S, Hayata-Takano A, Nakazawa T, Yano K, Horiguchi N, Nakagawa S, Takuma K, Waschek JA, Hashimoto H, Ago Y.
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Journal Title
Front. Neurosci.
Volume: 14
Pages: 521
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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