2019 Fiscal Year Research-status Report
腸管脂肪吸収における神経ペプチドCGRPの役割と制御機構の解明
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19K07127
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
細野 加奈子 北里大学, 医学部, 助教 (80532556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 講師 (40203187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂肪吸収 / 腸管リンパ管 / CGRP / RAMP1 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管リンパ管(乳糜管)は脂肪吸収という重要な役割を果たしている。従って、乳糜管の構造・機能異常は脂質循環障害をきたし肥満や脂質代謝異常などを発症する可能性がある。そこで、本研究では乳糜管を介した脂肪吸収に果たすCGRP/RAMP1の役割とその制御機構を解明し、腸管リンパ管の可塑性制御が肥満や代謝疾患治療につながるかを明らかにするため検討を行った。 肥満におけるCGRP/RAMP1の役割解明のため、RAMP1 KO、野生型(WT)に高脂肪食または普通食を12週間給餌した。その結果、高脂肪食を摂取したRAMP1 KOではWTに比べ、体重増加、脂肪量(血中、内臓)増加、高コレステロール血症、高血糖が認められたが、普通食を摂取した場合では差は認められず、CGRP/RAMP1の肥満、脂質代謝への関与が考えられた。一方、高脂肪食を摂取したRAMP1 KOではWTに比べ乳糜管の長さが短く、幅は広くなる傾向が認められた。さらに、蛍光標識した長鎖脂肪酸(BODIPY FL C16)を投与し、乳糜リンパ管による取り込みを組織化学的評価および血中の蛍光強度測定により評価したところ、高脂肪食を摂取したRAMP1 KOだけがより多くの長鎖脂肪酸を取り込むことから、CGRP/RAMP1の脂肪吸収調節への関与が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度では、当初の予定通り肥満におけるCGRP/RAMP1の役割解明のためにRAMP1 KO、野生型(WT)に高脂肪食または普通食を12週間給餌し、体重、食餌摂取量、内臓脂肪量、などの変化を比較検討した。また、脂質代謝を検討するために血清コレステロール、血清中性脂肪や内臓脂肪量を測定した。さらに、蛍光標識した長鎖脂肪酸(BODIPY FL C16)を投与し、乳糜リンパ管による取り込みを評価した。さらなる検討を進めるため、モデル作製を継続中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高脂肪食負荷時のCGRP、RAMP1の発現とその発現部位を調べるとともに、リンパ管新生因子VEGF-C/Dやリンパ管マーカー発現の変化を検討する。さらにリンパ管新生因子の産生細胞を特定するため、免疫染色、フローサイトメトリーなどで比較検討する。また、生体イメージングで脂肪吸収を可視化して、乳糜管構造と機能変化を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度の研究遂行において、実験動物の購入および飼育費用、抗体購入費用が当初の予定以上に必要になることが判明したため、今年度の消耗品費を節約して予算を繰り越した。
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Research Products
(6 results)