2020 Fiscal Year Research-status Report
Discovery of new anti-inflammatory natural compounds through a highly selective isolation method
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19K07134
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
田中 宏幸 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 教授 (30253470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠瀬 直喜 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 助教 (10725964)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脂質メディエーター / 天然化合物 / プルダウンアッセイ / 天然医薬資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症反応は、がん、認知症、生活習慣病など様々な疾患に関与する複雑な生体反応である。我々は、国内外の多種多様な薬用資源が産生する代謝産物の中から上記疾患の治療、予防に役立つ生理活性成分の発見を目指した研究を遂行している。本年度は、カラギナンにより炎症を惹起したラットの炎症部位における脂質の変動をLC/MS/MS脂質メディエーターメソッドパッケージVer. 2(島津製作所)を用いて網羅的に解析すした。また、様々な薬用資源を国内外から調達し、こららの試料についてエキスの調製を行った。まず、脂質メディエーターの解析結果については、炎症時に顕著に変動する、すなわち炎症反応に関わりがある脂質メディエーターを特定することに成功した。特定した脂質メディエーターは、各種脂質の酸化体であり、こららの化合物等が直接的あるいは間接的に炎症制御反応に関与している可能性が示唆された。この結果は、炎症反応を制御する化合物が働きかける受容体等を特定を行う上で重要な結果であり、現在、受容体等の特定を行っている。今後、候補受容体の安定発現細胞株を作成し、炎症状態を模倣した条件下にて特定したシグナル経路が期待通りの変動を示すことを確認する。以上の活性成分をスクリーニングする手法が確立された後には、速やかに様々なサンプル、エキスを精査することで医薬資源として活用できる成分の発見を進めて行く計画である。活性成分のスクリーニング系に供試する薬用植物エキスの調製については順調に遂行でき、多種多様なサンプルを得ることができた。このことは、これまで培ってきた共同研究を通じた国際交流の賜物といえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、まず各種炎症モデルマウスを作成した後、炎症モデルマウスの炎症部位における脂質の変動をLC/MS/MSで分析し、炎症反応に寄与する可能性が高い脂質メディエーターを特定する必要がある。しかし、新設されて間もないことから、動物実験施設の整備が完了せず、予定していた炎症モデルマウスの作成実験を行うことができなかった。そこで、本年度は、動物実験に関する項目について一部委託することで実験を少しでも進められるような対応を行った。本年度、動物実験施設を利用できることとなり、1、2年目に予定していた実験が進められる体制が整ったことから、上記実験を概ね1年遅れで実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を基に、炎症制御に関与する脂質メディエーターが関与する受容体等を活かした迅速抗炎症作用評価システムを構築する。続いて、本活性生物評価システムを活用し、調製した多種多様な薬用植物エキスを調査し、陽性反応が得られた数種のエキスについてさらに二次スクリーニング (実際に炎症性脂質メディエーターとその受容体を介して誘発される炎症反応を抑制するか否か) を進める。並行して、脂質メディエーター受容体の細胞外ドメインを固定化した磁気ビーズを用いたプルダウンアッセイを行い、医薬シード化合物を選択的に見出す。続いて、有望な医薬シードを選抜した後、薬効評価を実施する上で必要な量を確保するため、原料サンプルからエキスの調製を行い、各種クロマトグラフィーを用いた活性成分の精製・単離を行う。
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