2021 Fiscal Year Research-status Report
出芽酵母ケミカルジェネティクスを用いた生薬エキス成分の真の作用機序と標的分子解明
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19K07145
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
宇都 拓洋 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (90469396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケミカルジェネティクス / 出芽酵母 / 生薬エキス / 相互作用 / カンゾウ / グリチルリチン酸 / オウレン / オウゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
ケミカルジェネティクス的手法により約4000株の遺伝子破壊出芽酵母株を用いて生薬エキス高感受性株の網羅的解析を進めた。昨年度、繁用生薬の中から候補となる生薬としてカンゾウ、オウレン、オウゴンを選抜している。さらに、次世代シーケンシング(NGS)解析にむけて野生型株BY4741を用いて各生薬エキス添加時の増殖速度が70%となる濃度(サブリーサル濃度)の決定を試みた。その結果、カンゾウエキス、オウレンエキス、オウゴンエキスのサブリーサル濃度を、それぞれ45.0μg/mL、8.63μg/mL、250.2μg/mLと決定した。次に、エキスの濃度変化による高感受性株の変動を調べるために、ノックアウト酵母クローンコレクションをカンゾウエキスのサブリーサル濃度以下(10, 20, 40μg/mL)で処理しゲノムDNA抽出を行った。また、オウレンおよびオウゴンエキスに関しては、ノックアウト酵母クローンコレクションをサブリーサル濃度で処理しゲノムDNA抽出した。現在、これらのNGS解析を行っている。これらの研究と同時進行で、NGS解析終了後のエキス中の成分間の相互作用および標的分子の同定のために利用する抗天然化合物モノクローナル抗体(MAb)の作製および培養細胞での標的分子同定への応用を検討した。具体的にはカンゾウに含まれるホルモノネチンに対する特異的MAbを作製し、本MAbによりホルモノネチンの骨芽細胞様MC3T3-E1細胞への取り込みをモニターできることを確認した。本結果を研究論文としてまとめ、現在国際誌へ投稿中である。また、これまでの本研究室における抗天然化合物MAbの作製と応用に関する研究結果をまとめ、総説として国際誌へ投稿し採択された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの蔓延により研究協力者や研究室所属学生の研究室への立ち入りが制限されたため遅れが生じていただが、2021年度はおおむね順調に進展することが出来たと考えている。昨年度の生じたNGS解析の遅れは現在最優先で進めており、まもなく解析が終了する予定である。また、同時進行で行っている成分間の相互作用や標的分子に関する研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)カンゾウエキス、オウレンエキス、オウゴンエキスの全遺伝子破壊株に与える影響の網羅的解析 NGS解析の結果をもとに、The Cell Map や Gene Ontology Term Finder 等を用いて、高感受性株の遺伝子の細胞内局在部位と機能、エキス間の遺伝子変動パターンの相違や特徴を解析し、細胞内局在部位と機能、エキス間の遺伝子変動パターンを明らかにする。 2)各エキス高感受性株の増殖を制御する成分の単離同定と標的分子解析 各エキス高感受性株の増殖をモニターしながら、エキスを順次分画し、成分の単離同定を行う。得られた精製成分が目的のエキス高感受性株の増殖を確実に制御することを明らかにした上で、出芽酵母破壊遺伝子データベースを活用したプロファイリングにより標的分子を同定するとともに、ヒトとのホモロジー解析を行う。さらに、各成分と標的分子のバインディングシミュレーションにより結合サイトを明確にすることで、エキス中での生薬成分の真の標的分子を明らかにする。また、本研究室で作製した抗天然化合物MAbを用いたヒト培養細胞における解析も進め、標的分子・作用機序を明確に立証する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延のためにやや遅れていたNGS解析(受託)の費用が498千円で、現在進行中であり解析終了後の支払いになっている。また、間もなく実施する次のNGS解析もほぼ同額になる予定であり、次年度使用額は、すべてNGS解析の費用となっている。その他の収支は計画通り進行している。
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Research Products
(4 results)