2022 Fiscal Year Annual Research Report
Omics analysis for cultivation and useful metabolite biosynthesis of dinoflagellates based on the improvement of gene functional annotation
Project/Area Number |
19K07148
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
櫻井 哲也 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90415167)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゲノム / トランスクリプトーム / 遺伝子機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象生物種の渦鞭毛藻2種を光学顕微鏡及び走査型電子顕微鏡を用いた形態的特徴の把握とリボソームRNAをコードするゲノム領域の塩基配列決定により、アンフィディニウム属の一種はAmphidinium gibbosum、シンビオディニウム属の一種はEffrenium voratumと推定した。この2種の渦鞭毛藻について、海洋深層水、ホウ素を除去した海洋深層水(以降、深層水-B)、カルシウムを除去した海洋深層水(以降、深層水-Ca)、ホウ素とカルシウムを除去した海洋深層水(以降、深層水-B-Ca)、の4種類の培地使用における培養効率の比較実験を行い、いずれの渦鞭毛藻においても、ホウ素よりもカルシウムが増殖効率に影響を及ぼすことを示した。上述の培地を使用し、25℃、光度35μmol・m-2・s-1、16時間-8時間の明暗サイクルで2週間培養した藻体からRNAを精製し、mRNAを対象としたRNA-seqを実施した。RNA-seqは各実験区で独立した3サンプルを対象に行った。得られたRNA-seq配列データを用いてde novoトランスクリプトームアセンブリを構築し、A. gibbosumは約12万個、E. voratumは約8万個のコンティグ(連結配列)を得、これらを本研究では遺伝子として扱うこととし、以降の解析の参照配列データとした。各実験区との遺伝子発現解析の結果、A. gibbosumでは、海洋深層水と深層水-Bの実験区の間で発現レベルが増加した遺伝子は95個、減少した遺伝子は65個だった。海洋深層水と深層水-Caの実験区の間で発現レベルが増加した遺伝子は386個、減少した遺伝子は369個だった。この結果からも渦鞭毛藻の細胞増殖に際しホウ素よりもカルシウムが影響を及ぼすことを示した。いずれの解析結果においても、光化学系ⅠとⅡ、シトクロムb6/f複合体に関する遺伝子の発現レベルが減少しており、陸上植物でのホウ素欠乏時の報告と一致した。
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