2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07153
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
高橋 哲史 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (40449004)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵臓がん / エクソソーム / 転移 / スクリーニング / 漢方薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、肝臓転移膵臓がん細胞株KMP2のエクソソーム関連因子の3’末端への発光タンパク質部分配列HiBiTのノックイン用のベクターを構築した。前年度に構築したゲノム編集利用ノックインシステムであるPITChシステムベースのEPS8ノックインベクターセットに加え、CD9、CD63のノックインベクターセットを構築した。これらを用いてKMP2のゲノム上のそれぞれの遺伝子にHiBiTのノックインを試みたが、いずれにおいてもセレクションの抗生物質耐性細胞は得られなかった。そこで組換え効率の向上が期待されえるLoADシステムに基づいたノックインベクターの効率を行い、これらの構築に至った。 一方、KMP2細胞由来のエクソソーム精製条件検討のため、細胞培地や加える血清(エクソソーム除去FBS)の濃度を変え、得られた培養上清中のエクソソームについて解析を行なった。各種培養上清中のエクソソームの初期評価には、抗Tim4抗体および抗CD63抗体を用いたサンドイッチELISAを用いた。その結果、無血清および血清2%存在下、DMEM培地で72時間培養したとき、多くのエクソソームが分泌されることが示唆された。そこで、両条件で培養したKMP2細胞由来の培養上清について抗Tim4抗体を用いた磁気精製法によりエクソソーム精製し、NanoSightを用いた粒子径の測定を行なった。その結果、いずれの培養条件においても130-140nmの粒子径の小胞のみが得られた。また、粒子濃度も十分高い濃度で得られることが確認できたため、本条件がエクソソームの評価条件に適していることが明らかとなった。 さらに、The Cancer Genome Atlas (TCGA)データベースを用いて膵臓癌の様々な臨床検査値とmiRNAの発現を比較検討し、悪性化に関わるmiRNAのピックアップも行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19感染症の影響で、試薬の納入に時間を要した。また、施設立ち入り制限などがあり、継続的な研究が困難な時期があった。 KMP2細胞以外の他の増殖性の高い細胞を用いてPITChシステムの機能を評価を行った結果、問題なくPITChシステムは機能したため、KMP2細胞はノックイン効率が非常に定率であることが判明した。改善のために新たなベクターシステムを構築する必要に迫られ、これらベクターを新たに構築した。 エクソソームの精製は回収量や解析法など課題であったが、検討した抗Tim4抗体を用いた磁気精製法は質的および収量的にも適した方法であることがあきらかとなったため、今後の検討に用いる目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、LoADシステムを用いてHiBiTをノックインした細胞を作製し、得られた細胞由来のエクソソームの定量化条件を構築し、本評価系を用いて漢方薬の効果を検討する。また、TCGAデータベースを用いた解析の結果同定された膵臓癌の悪性化マーカーmiRNAについて、KMP2由来の精製エクソソーム中に含まれるこれらmiRNAの定量についても検討する。さらにマウスKupffer細胞株に対する精製エクソソームの影響も検討し、表現系とエクソソーム中のmiRNAの関連について検討を行なっていく。 また、前年行えなかった転移調節候補因子としてピックアップされている遺伝子群に対して、27merのsiRNAを用い、候補因子を発現抑制した時のKMP2の生物学的機能解析を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染症の影響により予定していた実験が行えなかった分や、学会出張などが取りやめになったことから多くの研究費が未使用になった。 前年度に行えなかったsiRNAを用いた実験や、miRNAの解析研究を行うため、次年度使用に繰り越した研究費をこれら解析研究に用いる予定である。
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