2020 Fiscal Year Research-status Report
生物時計システムの制御を基盤とする新規天然薬物の開発
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19K07154
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
平居 貴生 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (80389072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 健一 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (70635135) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / ベージュ脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、生物時計システムの新規機能を明らかにする目的で、ベージュ脂肪前駆細胞の細胞分化におけるNfil3/E4BP4の役割を中心に解析を進めた。近年、寒冷刺激によって誘導される熱産生を行うが褐色脂肪細胞とは由来の異なる褐色脂肪様細胞「ベージュ脂肪細胞」が見出され、褐色脂肪細胞と同様、肥満・生活習慣病の治療標的として関心が高まっている。したがって、本研究ではC3H10T1/2細胞を用いて、脂肪前駆細胞のベージュ細胞分化制御におけるNfil3/E4BP4の役割について検討した。siRNA法を用いてNfil3をノックダウンした後、褐色脂肪細胞分化培地を用いてC3H10T1/2細胞を培養した。培養細胞からtotal RNAを回収し、定量的リアルタイムPCR法による褐色脂肪細胞関連遺伝子を測定後、細胞分化へ影響について検討した。その結果、Nfil3をノックダウンしたC3H10T1/2細胞ではPpargc1a、FGF21の有意な増加が観察された。また、マウス鼠径部脂肪組織由来の脂肪前駆細胞を用いた解析では、Nfil3ノックアウトマウスから調製した褐色脂肪様細胞におけるUcp-1、Ppargc1a、Fibroblast Growth Factor 21(FGF21)発現の増加が観察された。以上の結果から、転写因子Nfil3/E4BP4は白色脂肪細胞の細胞分化だけでなく、ベージュ脂肪前駆細胞の分化を制御する可能性が示唆された。また、漢方方剤繁用生薬抽出エキスライブラリーを用いてBmal1プロモーター活性を指標にRev-erbに作用するアゴニストの探索を試みた結果、BMAL1 mRNA発現を減少させる2つの生薬抽出エキスを見出した。また、高い活性を示したイカリソウについて解析した結果、脂肪前駆細胞のicaritin処理によるFGF21の発現変動が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度の研究代表者の異動に伴い、本研究に必要な実験系の再構築に多くの時間が必要であったが、Bmal1プロモーター活性を利用したスクリーニング系の再構築が完了したので、生薬エキスライブラリーを用いたRev-erbに作用するアゴニストの探索を継続して実施した。一方、当初予定していたin vivo実験系の再構築については若干遅れていることから「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の研究成果より、転写因子Nfil3/E4BP4がベージュ脂肪前駆細胞の分化に重要な役割を果たす可能性が示唆された。今後は、これまでの本研究課題の遂行により生物時計システムに作用することが明らかとなった生薬エキスを中心に褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞における分子制御機構と肥満予防効果について解析を行う予定である。T細胞の分化決定に必須な転写因子であるNfil3/E4BP4は核内受容体Rev-erbの標的分子の一つである。また、代謝制御ホルモンの一つであるFGF21の遺伝子発現はRev-erbによって制御されることが明らかになっている。さらに、icaritinがベージュ脂肪細胞の調節メカニズムに作用する可能性が示唆されたことから、マウス褐色脂肪組織におけるFGF21 mRNA発現量の変化を時刻依存的に解析したところ、褐色脂肪組織におけるFGF21発現パターンは周期性を有することが明らかとなった。したがって、今後は(1)転写因子Nfil3/E4BP4によるFGF21遺伝子発現制御における詳細なメカニズムを明らかにすると同時に、別のアプローチとして、(2)漢方方剤繁用生薬抽出エキスを用いた多検体スクリーニングによって、FGF21発現誘導活性を有する新たな生薬エキスや天然物成分の探索を行い、生物時計システムを標的とした肥満改善薬の創出の可能性について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
試薬類に関して、予定していたよりも安価な試薬を調達できたため次年度使用額が生じた。また、本研究成果の論文化に向けた追加実験と論文の執筆及び投稿のために英文校正費及び試薬費を次年度に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)