2021 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫と獲得免疫担当細胞における完熟トマト天然配糖体の作用解析
Project/Area Number |
19K07156
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
周 建融 崇城大学, 薬学部, 講師 (30454953)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | トマトジュースサポニン / トマト缶詰サポニン / esculeoside B / esculeogenin B / Th1細胞 / Th2細胞 / 制御性T細胞Treg |
Outline of Annual Research Achievements |
トマトジュースやトマト缶詰の主成分としてリコピンより約4倍高い含量をもつトマトサポニンesculeoside B(EsB)には、マウスアトピー性皮膚炎様皮膚障害を改善する効果があることを見出した。本研究課題では、その機序を解明することを目的として、マウス活性化T細胞に対するトマトジュースサポニンEsB及びそのアグリコンesculeogenin B(Esg-B)の影響について検討し、今年度は下記の研究実績を得た。 ① マウス脾臓由来T細胞の増殖に及ぼす影響: 選択的T細胞マイトジェンのコンカナバリンA (ConA)刺激によりT細胞を増殖させ、EsB, Esg-Bの添加により、T細胞の増殖をそれぞれ濃度依存的に有意に抑制させた。② マウス脾臓由来Th1細胞に及ぼす影響: ConA刺激によりTh1サイトカインであるIFN-γの産生や遺伝子発現をそれぞれ増加させた。ConAのみ処置したcontrolと比較して、EsB, Esg-Bを加えた場合、IFN-γの産生や遺伝子発現を濃度依存的に抑制した。③ Th2細胞に及ぼす影響: ConA刺激によりTh2サイトカインであるIL-4の産生や遺伝子発現をそれぞれ増加させた。ConAのみ処置したcontrolと比較して、EsB, Esg-Bを加えた場合、IL-4産生や遺伝子発現を濃度依存的に抑制した。④ Tregサイトカインの産生に及ぼす影響: ConA刺激によりTregサイトカインであるIL-10の産生が上昇し、EsB, Esg-Bを加えた場合、IL-10の産生をそれぞれ濃度依存的に有意に抑制させた。 以上の結果より、トマトジュースサポニンEsBとそのアグリコンEsg-Bは、炎症性サイトカインを抑制し、Th1, Th2, Tregを制御していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、完熟トマトサポニンのマウスアトピー性皮膚炎様皮膚障害の改善効果に関する機序を解明することを目的としているが、令和3年度は、トマトジュースやトマト缶詰サポニンEsBとそのアグリコンEsg-Bは、獲得免疫における炎症性サイトカインを抑制し、Th1, Th2, Tregを制御していることを見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
マウス骨髄系樹状細胞を上手く培養し、自然免疫担当細胞に対する完熟トマトサポニンEsB及びそのアグリコンEsg-Bの影響について、少しずつ進めていきたいと考えている。さらに、獲得免疫におけるT細胞のTCR受容体シグナル伝達に対するトマトジュースやトマト缶詰の配糖体EsBとそのアグリコンEsg-Bの細胞内メカニズムを検討する。
|
Causes of Carryover |
自然免疫の指標としてのマウス骨髄系由来樹状細胞の数が少なく、コロナウイルスの影響による研究室活動の制限等により、自然免疫に及ぼす影響に関する研究は、進捗がやや遅れているため。 今後、マウス骨髄系樹状細胞を上手く培養し、自然免疫担当細胞に対するトマトサポニンEsA/EsB及びそのアグリコンEsg-A/Esg-Bの影響について、少しずつ進めていきたい。さらに、獲得免疫におけるT細胞のTCR受容体シグナル伝達に対するトマト天然配糖体EsA/EsBとそのアグリコンEsg-A/Esg-Bの細胞内メカニズムを検討する。
|