2019 Fiscal Year Research-status Report
生体リズムを考慮した抗リウマチ薬ヤヌスキナーゼ阻害剤の至適投与設計の構築
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19K07161
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤 秀人 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (90346809)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生体リズム / 関節リウマチ / JAK阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、関節リウマチ病態におけるJAKの検出及び関節リウマチモデルの作成を試みた。Lewisラット及びC57BL/6Jマウスを対象に、脾臓中のJAK1タンパク質をウエスタンブロット法を用いて測定した。ラットでは、JAK1タンパク質の目的のバンドを検出することができたが、p-JAK1タンパク質では非特異的なバンドが出てしまい、目的のバンドを検出することができなかった。一方、マウスでは、JAK1タンパク質は、目的の位置にはっきりとバンドがみられ、同サンプルのタンパク質濃度を変化させたが、濃度依存的にバンドのシグナル強度が変化した。そこで、正常マウスにおけるJAK1タンパク質の日内変動を測定してみた。1:00に最高値となるリズミカルな日内変動がみられた。 次に、SKG/JclマウスにザイモザンAもしくはマンナンを摂取し、四肢に関節炎を発症する関節リウマチモデル形成を試みた。マンナンはDay4から、ザイモザンAはDay12から関節炎が観察された。実験最終日Day28において、マンナンの関節炎発症率は100%であるのに対し、ザイモザンAは60%であり、Day4からDay24にかけてマンナンの関節炎スコアは有意に高かった (P < 0.05)。 今後、SKG/Jclマウスを対象に、マンナンを感作し、関節炎を発症させ、JAKタンパク質及び遺伝子発現などの日周リズム解析を実施する。さらに、これらの周期に基づき、JAK阻害を投与し、投薬時刻の違いによる関節炎抑制効果を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
JAKタンパク質の同定及び定量法の確立に時間を要してしまった。今回は、ウエスタンブロット法でタンパク質同定を試みたが、リウマチモデルとして汎用されているラットでは、JAKの検出ができなかった。そのため、実験対象をマウスに変更して検証を行っている。マウスでは、JAKの検出が確認できているため、この系にて実験を進めることとしている。対象とする実験動物の変更によって、ロスした時間があるが、現在はその遅れを解消しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、関節炎組織中及び血中JAK及びJAKに関連する生体内因子の日周リズム解析およびRAモデルマウスを対象としたJAK阻害剤の時間薬理学的検討を実施する。SKGマウスを対象に、感作後早期、中期、後期に9:00, 13:00, 17:00, 21:00, 1:00, 5:00の6時点に採血及び脾臓、炎症部位などの各組織の摘出を行う。採取したサンプルから、血中CRPやサイトカイン濃度、JAK及び時計遺伝子などのタンパク質や遺伝子発現量を測定する。また、1:00, 5:00, 9:00, 13:00, 17:00, 21:00の6時点のいずれかに最大2ヶ月JAK阻害薬を反復投与し、関節炎抑制効果及び副作用について評価する。関節炎スコア(Mengらの評価方法に準拠;Arthritis Rheum. 50: 2695, 2004)、関節腫脹(足容積測定装置)、炎症関連指標としてSAA, CRP(ELISA)、炎症性サイトカイン(Bio-plex)、RA関連指標としてリウマトイド因子、IgG-RF、II型コラーゲン(ELISA)、時間生物学関連指標として時計遺伝子および時計関連遺伝子(RT-PCR, ウェスタンブロット)を測定する。 これらのデータを総合して、JAK阻害剤における時間薬物療法の有効性と、その有効性に起因する生体リズム因子の同定を試みる。
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