2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子プロファイルと血中濃度解析を活用した抗EGFR抗体薬の治療抵抗性の解明
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19K07163
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
須野 学 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (20621189)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永坂 岳司 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30452569)
松本 准 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (60709012)
母里 淑子 岡山大学, 大学病院, 助教 (70708081)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん治療 / 抗EGFR抗体 / 遺伝子変異 / 遺伝子プロファイル / 皮膚障害 / 抗PD-1抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,RAS野生型切除不能進行再発大腸癌において,抗EGFR抗体薬投与による獲得耐性機序の解明をgenetic・epigenetic(特にDNAのメチル化)だけではなく,抗EGFR抗体薬血中濃度にも焦点を当てて抗EGFR抗体薬の獲得耐性の発現率やパターン,奏功率や副作用などの治療経過情報と抗EGFR抗体血中濃度の関連性を評価し,抗EGFR抗体薬の投与量の個別化を検討することを目標として取り組んでいる。令和2年度は,抗EGFR抗体薬であるセツキシマブの血中濃度測定法の確立とその臨床応用について検討するとともに,抗PD-1抗体薬であるニボルマブおよびペムブロリズマブのサンドウィッチELISA法を用いた測定測定法を開発した。 ニボルマブでは,y=(-87.7-12800)/(1+(x/214)^1.05 )+12800,r=0.999, ペムブロリズマブでは,y=(49.9-21400)/[{1+(x/37.4))^1.59 }^0.335 ]+21400, y=0.999のシグモイド型の検量線を得た。臨床サンプル測定に適した測定法であることを確認した。この測定法の臨床応用では,ニボルマブ投与患者血液サンプル(投与後14日目,28日目)のサンプルを測定し15- 40 μg/mLの範囲での推移していることを観察した。先行研究のセツキシマブ血中濃度と皮膚障害の関連性については,セツキシマブ血中濃度の高低に関連せず,皮膚障害重症化症例では投与開始5-7日後の早期に出現していることを見出した。セツキシマブ血中濃度とEpigenetic変異解析については,治療早期に治療抵抗を示し離脱した患者ではDNAメチル化スコアの増大を観察した。今後は,症例を積み重ね,各抗体薬の血中濃度との効果および皮膚障害との検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗EGFR抗体血中濃度測定においてヒト血漿中パニツムマブ,セツキシマブのサンドウィッチELISA法を用いた測定方法を確立した。 抗PD-1抗体血中濃度測定においてヒト血漿中ニボルマブおよびペムブロリズマブのサンドウィッチELISA法を用いた測定方法を確立した。 Genetic/Epigenetic変異解析においてHi-SA (High-Sensitive Assay for Bisulfite DNA) 法を用いて解析を進めている。研究サンプルについて,50例を登録完了した。この50症例について上記のパニツムマブ血中濃度解析とgenetic/epigenetic解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
治療早期に治療抵抗を示し離脱した患者ではDNAメチル化スコアの増大を観察したことから,Hi-SA (High-Sensitive Assay for Bisulfite DNA) 法を用いて解析をすすめる。登録完了した50症例について上記のパニツムマブ血中濃度解析とgenetic/epigenetic解析の統合をすすめる,抗EGFR抗体血中濃度と治療効果および副作用の関連性について検討する。それに加え,epigenetic biomarkerの解析,特に治療困難となるような獲得耐性に関与する遺伝子およびその変異について統合的に解析をすすめる。 抗PD-1抗体(ニボルマブ,ペムブロリズマブ)血中濃度測定方法を確立できたので,それらの追加研究にも取り組みたい。
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Causes of Carryover |
試薬(抗体医薬品)がメーカーの計画当初の価格より約10%安価(割引キャンペーン価格)に購入できたため。 次年度使用額については,次年度計画しているepigenetic biomakerの解析およびニボルマブ血中濃度測定に必要な消耗品費として使用する予定である。
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