2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of anti-inflammatory mechanism of macroride antibiotics via NIP-SNAPs
Project/Area Number |
19K07168
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山本 聡 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10588479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 徳子 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00438061)
高澤 啓 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (00593021)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NIPSNAP / mitophagy / 炎症サイトカイン / 自然免疫 / クラリスロマイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者がマクロライド系抗菌薬 (以下マクロライド)の結合タンパク質として同定したNIPSNAP1および2 (以下NIPSNAPs) は、マクロライドが持つ抗炎症作用の詳細を明らかとする上で重要なミトコンドリアタンパク質である。本研究では「NIPSNAPsの生体における根本的な機能は何であるか?」という問いを掲げ、NIPSNAPsの生理機能とマクロライドの抗炎症作用の分子機構を明らかにすることで、耐性菌出現・常在細菌叢撹乱といったマクロライド療法における臨床上の問題点を解決し、かつ慢性気道炎症に対する新規薬剤の創出に資する基盤研究を行う。本研究課題ではミトコンドリアタンパク質NIP-SNAPsによる(1) autophagyを介したミトコンドリアの品質管理機構 (2) 炎症性サイトカイン産生に関わるシグナル伝達経路の同定 (3) マクロライドとの結合様式の詳細を細胞生物、生化学、構造学的に明らかにし、ミトコンドリアーNIP-SNAPsーマクロライドの3者間の関連性を統合することで、マクロライドの抗炎症作用の全貌を解明する。 本研究課題を達成するために、申請者はNIPSNAPsのdouble knock out (DKO)を樹立し、炎症性サイトカインの産生能、RNA seq.など網羅的な解析をおこなった。その結果、DKO細胞の表現系とsiRNAによるknock down(KD)で見られる表現系に大きな乖離があることを見出した。NIPSNAPのKD細胞においてミトコンドリアの量が減少することや、ミトコンドリア量の減少は炎症性サイトカインの産生に関与することを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続きNIPSNAPが関与する炎症性シグナル伝達経路の解明を試みた。NIPSNAP1および2を欠損したdouble knock out(DKO)株を取得したが、siRNAによる一時的な発現抑制で観察された炎症性サイトカインの減少は認められなかった。このことからNIPSNAPの機能を補完しうる因子の存在が示唆された。この因子を同定するために、野生型およびDKO株やDKO株にNIPSNAPsの発現を戻した相補株における遺伝子発現をRNA seqで解析し候補因子を30ほどに絞りこむことに成功したが、定量PCRにおいて再現しなかった。 NIPSNAPsはミトコンドリア外膜に局在しmitophagyに関与することから、ミトコンドリアストレス時における炎症性サイトカインの産生能を比較した。まずCCCPやdeferiproneなどのmitophagy誘導剤の処理によって炎症性サイトカインの産生量が減少する。またNIPSNAPのDKOではより顕著に炎症性サイトカインの産生量が減少することを見出した。しかしながら、相補株においては表現系が戻らなかった。 KD細胞では、ミトコンドリアタンパク質COX2, COX4, HSP60の顕著な減少が認められ、さらにmtDNAの量も低下することを見出した。このことから、NIPSNAPsの一時的な抑制は、ミトコンドリアストレスを誘導し、その結果ミトコンドリアの量が減少し、炎症性サイトカインの産生が抑制されることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、autophagyを介したミトコンドリアの品質管理機構について以前不明であるため、この点について検討を行うが、問題点としてKD細胞とKO細胞とで表現系が異なることが挙げられ、この点についても考察を進める。昨年度はミトコンドリアのタンパク質やゲノム量をミトコンドリアストレスやマイトファジーの指標としたが、今年度はミトコンドリアの機能を細胞外フラックスアナライザーを用いて解析、評価を行う予定であり、クラリスロマイシンの存在下においてミトコンドリアの状態、NIPSNAPとの結合能を評価することで、本研究最終目的であるマクロライドの抗炎症作用の全貌を明らかにできると考えている。
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