2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of the drug delivery system via recombinant bifidobacteria aiming for an anti-cancer TNF-alpha preparation without adverse side effects.
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19K07172
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
平 郁子 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (60453693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 功 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00415556)
平 裕一郎 帝京平成大学, 薬学部, 准教授 (20581953)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 嫌気性菌 / 遺伝子組換え微生物 / 培地添加剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
EPR効果により、血管内に投与されたビフィズス菌( Bifidobacterium longum )は腫瘍組織に集積することが知られている。また、腫瘍内には低酸素領域が存在し、嫌気性菌であるビフィズス菌は低酸素領域で増殖可能なため、静脈内投与されたビフィズス菌は腫瘍組織に集積し、増殖する。 我々はこの現象を利用し、抗腫瘍タンパク質を発現・分泌するよう遺伝子組換えしたビフィズス菌をドラッグデリバリーキャリアとして静脈内投与することで、高い安全性をもって抗腫瘍効果が得られることをすでに報告している。 上記の技術をもとに組換えビフィズス菌を製剤化するにあたって、ビフィズス菌の大量培養を行う際に問題となる点として、ビフィズス菌による有機酸の産生がある。ビフィズス菌は、増殖の過程で代謝産物として酢酸や乳酸などの有機酸を産生するため、培養液を酸性化させる。一方ビフィズス菌の至適生育pHは中性付近であり、ビフィズス菌を大量培養する場合、ビフィズス菌が産生した有機酸により培地が酸性化し、ビフィズス菌の生育は停止する。この点を改善するため、2020年度はビフィズス菌の生育に影響しないpH調整剤を検討することとした。組換えビフィズス菌を最終的に注射製剤として製剤化するため、人体に注射剤として投与可能なエンドトキシン不含の製剤を中心に検討し、結果として、アシドーシス治療に用いられる点滴用製剤を用いることで、安定的にビフィズス菌の培養を行うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
将来的にビフィズス菌を注射剤として供給することを考慮し、エンドトキシン不含の製品の入手が容易なpH調整剤を中心に探索と検討を行った。結果として、ヒトのアシドーシス治療に用いられる点滴製剤である、メイロン(炭酸水素ナトリウム水溶液)を利用した培養液の作成法を確立した。また、同じくアシドーシス治療に用いられるサム点滴静注(トロメタモール水溶液)がメイロンより緩衝作用に優れ、培地の酸性化により増殖が停止したビフィズス菌培養液に添加することで、増殖を再開させることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、TNFα分泌発現組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を増強する新たな併用剤の探索と検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う行動制限の影響が、2019年度末に想定した以上の期間・規模に及んだことから、状況に応じて研究内容を調整したところ、当該年度の使用額にて研究が遂行できたため。 次年度は、組換えビフィズス菌の抗腫瘍効果を向上させる併用剤の検討を目的として使用する。
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Research Products
(3 results)