2021 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤による薬物トランスポーターの発現変動~メカニズムと薬物体内動態への影響~
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19K07173
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
秋好 健志 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (50399143)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 標的絶対定量プロテオミクス解析 / イリノテカン曝露 / トランスポーター発現 / 消化管障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに主にラットを用いてイリノテカン曝露による消化管障害モデルを作出し、そのモデルラットから摘出した各種臓器におけるトランスポーター発現量の定量条件を検討してきた。 具体的には、小腸を上部、中部、下部の各 10cm 程度に分画し、それぞれの上皮細胞を EDTA 含有 bufferにて剥離し、窒素キャビテーションにより細胞膜を破砕し、スクロースクッション法により細胞膜画分を調製した。同様に、肝臓および腎臓を単離し、ポッター型ホモジナイザーでホモジナイズ後に同様に細胞膜画分を調製した。 得られらた各細胞膜画分を用いて、標的トランスポーターの特異的ペプチドを指標に定量条件を確立した。 他方、現在までに、イリノテカン曝露により我々の既報と同様に、重篤な下痢症状が確認されており、当該ラットの各組織中の標的トランスポーターの発現量は、コントロール群と比べ大きく変動しているものが確認された。
現在、本実験としてイリノテカン曝露群およびコントロール群を作成し、評価を行っており、2023年度中には学会報告及び論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初、評価対象組織として主に、小腸の上部、中部、下部を想定していた。一方で、予備検討において、肝臓や腎臓に発現する各種トランスポーターについても興味深い結果が得られたため、評価対象組織およびトランスポーターの種類を大幅に広げ、各種前処理条件の検討を行った。加えて、各組織からの特異的ペプチドの回収率改善を目的に、新規に前処理条件の検討を行ったため、進捗に遅延が生じている。さらに、これにより、前処理時間が大幅に増加した。しかし、各条件検討により、従来よりも格段に高い再現性および定量範囲の拡大に成功したため、今後得られる知見は、本研究の想定を大きく上回ことと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで定量に着手していなかった新規の標的トランスポーターの定量法がおおよそ確立された。さらに、対象臓器を追加したことにより、当初の想定に加え、薬物の吸収に直接寄与しない肝臓や腎臓でのトランスポーターの発現変動をとらえることが可能となった。 今年度前半には、それらトランスポーターの各種臓器における絶対量の定量を実施し、その発現変動プロファイルに基づく、薬物体内動態変動を予測する。加えて、肝臓や腎臓に特異的に発現し、内在性基質を輸送する各種トランスポーターの発現変動を評価することで、抗がん剤曝露による生体臓器機能への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
現在までの検討に時間を要しており、本実験部分を次年度に持ち越している。そのため、次年度使用額を計上する。
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Research Products
(4 results)