2019 Fiscal Year Research-status Report
血清由来エクソソーム含有低~中分子の定性・定量と統合失調症リスク診断への展開
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19K07175
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小野里 磨優 東邦大学, 薬学部, 助教 (50610094)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム、 / 血清 / チオール化合物 / LC-MS/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) LC-MS/MS又はHPLC-蛍光検出法により、初回エピソード精神病 (FEP) 群、精神病発症危険状態 (ARMS) 群、健常対照群 (Control群) の血清中チオール化合物濃度を調べ、比較解析した。加えて、FEP群 + ARMS群の血清中分子濃度と臨床症状スコア (PANSS) との関連性を検討した。その結果、FEP群では、血清中メチオニン(Met) 濃度がControl群よりも有意に低下し (p = 0.0381)、ホモシステイン (Hcy) 濃度はControl群 (p = 0.0170)、ARMS群よりも有意に増加した (p = 0.0158)。FEP群のMet/Hcy比は、Control群やARMS群よりも有意に低下した。更に、FEP群+ARMS群におけるMet/Hcy比と陽性症状スコアとの間に有意な負の相関が認められた。これらの結果より、Met/Hcy比の低下は、ARMSからFEPの期間におけるARMS とFEPの判別マーカーとなり得ることが示唆された。本成果は、論文発表及び学会発表した。 (2) ヒト血清より、市販キットを用いて単離・回収したエクソソーム顆粒画分にメタノールを添加してエクソソームの膜を破壊した後、SBD-Fにより誘導体化し、LC-MS/MSを用いてチオール化合物の検出を行った。その結果、エクソソーム画分からもヒト血清と同様にHcy, システイン (Cys), グルタチオン (GSH), γ-グルタミルシステイン (γ-GluCys) が検出され、エクソソーム画分内におけるそれらの組成比は、血清中における組成比と同様であることが見出された。本成果は、論文にまとめ、現在は審査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) Met/Hcy比がARMS とFEPの判別マーカーとなり得ると明らかにできた。 (2) SBD-Fによる誘導体化に続くLC-MS/MS測定により、エクソソーム画分中に存在するペプチドを検出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血清より、市販キットを用いてエクソソーム顆粒画分を単離し、メタノール添加によりエクソソームの膜を破壊後、COXA-OSuと反応させ、LC-MS/MS(ESI(-):ネガティブイオンを検出)により分析する。Cys-Cys などのD-およびL-アミノ酸組成を血清vs.エクソソームで比較解析し、エクソソーム特有の濃度の高い物質を見出す。アミノ酸以外のイオンピークについては、MassBank(Web上の専用サイト)で検索するとともに、その構造を調べる。既知物質として市販されていれば購入し、クロマトグラムの保持時間やMSスペクトルの開裂イオンパターンの一致を確認する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも、実際には試薬や消耗品を安価に購入できたため、次年度使用分が生じた。次年度使用額と2020年度以降分を合わせて、エクソソーム抽出キットやLC-MS/MS測定に使用するカラムや有機溶媒、標準品の購入に充てる。
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[Journal Article] Alterations in methionine to homocysteine ratio in individuals with first-episode psychosis and those with at-risk mental state.2020
Author(s)
Onozato M, Uta A, Magarida A, Fukuoka N, Ichiba H, Tsujino N, Funatogawa T, Tagata H, Nemoto T, Mizuno M, Fukushima T
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Journal Title
Clin Biochem.
Volume: 77
Pages: 48-53
DOI
Peer Reviewed
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