2019 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症の効果的回復を目指した薬剤師のスティグマ是正教育プログラムの開発と実践
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19K07178
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
亀井 浩行 名城大学, 薬学部, 教授 (60345593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半谷 眞七子 名城大学, 薬学部, 准教授 (40298568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スティグマ / 統合失調症 / 保険薬局薬剤師 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
服薬の自己中断と言ったアドヒアランス不良が問題となる統合失調症の薬物療法においては、保険薬局の薬剤師が責任をもって服薬支援を行う必要がある。薬剤師が適切な服薬支援を行うためには、疾患や患者自身に対する偏見・差別(スティグマ)を是正することが不可欠である。これにより、統合失調症患者に効果的な回復をもたらすことが可能となる。本研究の全体計画は、統合失調症患者への服薬支援の障害となる薬剤師のスティグマの現状を明らかにする。その結果をもとにスティグマを評価する指標を作成する。この指標を用いて、「統合失調症患者に対する薬剤師のスティグマを是正し、適切な服薬支援を行うための薬剤師の患者参加型教育プログラム」を開発することである。 当該年度においては、統合失調症患者のスティグマに関する問題点を薬局薬剤師、病院薬剤師、当事者である統合失調症患者から抽出した。これをもとに作成したスティグマ評価尺度の原案を実際の評価対象者である愛知県内の薬局薬剤師1,500名に配布・回収(回収率:約40%)し、評価尺度としての信頼性と妥当性を確認した。 その後、保険薬局薬剤師(計115名)を対象に患者との対話を用いた薬剤師教育プログラムを2回に分けて実施した。このプログラムでは、講義群56名(統合失調症に関する60分の講義のみを受講)、患者との対話群59名(講義に加え、グループワーク70分及び統合失調症患者との対話60分を行う)にランダムに割り付け、その前後で新規スティグマの評価尺度を用いて、教育プログラムの効果を評価した。その結果、教育プログラム前後での患者との対話群の評価尺度の合計スコアは、講義群と比較して有意な改善がみられた。以上より、「統合失調症に関する講義」と「患者との対話」を組み合わせた今回の教育プログラムは、保険薬局薬剤師の統合失調症患者に対するスティグマ是正に有用であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究を実施するに当たり、本研究計画とその実施について、既に学内の人を対象とする倫理審査委員会の承認を得ていたこと、統合失調症と薬局薬剤師に特化したスティグマ(偏見、差別)の評価尺度を我々の先行研究や文献などから原案を作成していたこと、研究対象者である統合失調症患者と薬局薬剤師の抽出の準備ができていたことから、新規スティグマ評価尺度の原案を早期に作成し、保険薬局薬剤師115名を対象に統合失調症患者との対話を活用した教育プログラムを2回に分けて実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、国内外での学会発表や再度、薬剤師教育プログラムを予定しているが、新型コロナ感染症拡大の影響で、海外の学会発表は中止となり、薬剤師教育プログラムの開催の目途も立っていない。前年度のデータ解析を詳細に見直し、国内での学会発表(一般演題、シンポジウム)及び海外の学術雑誌への論文投稿等を実施し、研究成果を国内外に発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年3月に本研究成果の発表を予定していた日本薬学会第140年会(京都)が新型コロナ感染症拡大の影響で中止となり、誌上開催となった。このため、当該年度に予定していた旅費が次年度に繰り越されることになった。繰り越された額は次年度の国内の学会発表の旅費に計上する計画である。
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