2021 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の効果的回復を目指した薬剤師のスティグマ是正教育プログラムの開発と実践
Project/Area Number |
19K07178
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
亀井 浩行 名城大学, 薬学部, 教授 (60345593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
半谷 眞七子 名城大学, 薬学部, 准教授 (40298568)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スティグマ / 統合失調症 / 薬局薬剤師 / 薬剤師教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦においては、精神疾患の中でも統合失調症に対するスティグマが特に根強く、増加する外来患者の服薬支援に携わる保険薬局薬剤師(以下、薬局薬剤師)に着目し、薬局薬剤師が統合失調症患者に対して抱く社会的距離を改善することを目的に、患者との良好な接触経験を提供する「統合失調症患者との対話」を用いた教育プログラムの有用性を検討した。 教育プログラムの有用性を評価するために、薬局薬剤師に特化したスティグマ評価尺度(Stigma Scale toward Schizophrenia for Community Pharmacists: 以下、SSCP)を開発し、その信頼性と妥当性の検討を行った。さらに、この新たに開発した評価尺度であるSSCPを用いて、薬局薬剤師を対象に統合失調症患者との対話」に「統合失調症に関する講義」を組み合わせた教育プログラムのスティグマ是正効果を、ランダム化比較試験を用いて検証した。本研究では、「薬剤師としての社会的距離」、「統合失調症患者に対する認識・態度」、「自己開示」、及び「日常生活上の社会的距離」の4因子27項目から成るSSCPを開発し、そのスティグマ評価尺度としての信頼性及び妥当性が検証された。さらに、ランダム化比較試験の結果から、薬局薬剤師の統合失調症患者に対するスティグマは、「統合失調症患者との対話」と「統合失調症に関する講義」を組み合わせた教育プログラムを実施することにより是正されることが明らかになった。 薬剤師の抱くスティグマを是正することによって、より積極的な患者対応を促し、統合失調症患者が安心して継続的な治療を受けられる適切な服薬支援を提供することが可能となる。本研究の取り組みにより、今後、地域包括ケアシステムの一翼として地域の保険薬局が機能し、精神疾患患者に効果的な回復をもたらすことができるものと考えられる。
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