2021 Fiscal Year Annual Research Report
アミオダロンの血清リポタンパク質への分布を考慮した副作用モニタリング法の構築
Project/Area Number |
19K07188
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土岐 浩介 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90620881)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アミオダロン |
Outline of Annual Research Achievements |
アミオダロンを用いた不整脈治療では、間質性肺炎などの致死的な心外性副作用の発現により治療の継続がしばしば困難となる。しかし、アミオダロンの副作用は血清中の総アミオダロン濃度(結合型+非結合型)との関連性が乏しく、その予測は難しい。アミオダロンは非常に脂溶性が高いため、血清脂質への分布およびそこからの組織移行を考慮することで副作用との関連性を明らかにできる可能性がある。本研究では、血清総アミオダロン濃度と血清脂質濃度の関係、および血清リポタンパク質へのアミオダロン分布におよぼす高脂血症の影響について調査した。 アミオダロンを内服している患者において、血清中アミオダロン濃度は血清トリグリセリド(TG)値と正の相関関係にあり、高TG値の患者では正常患者と比較して高い濃度を示していた。また、血清中アミオダロン濃度と主代謝物デスエチルアミオダロン濃度の比(A/D比)は、血清TG値と正の相関関係にあり、高TG値の患者におけるアミオダロン代謝の低下が示唆された。 さらに、患者血清から低密度リポ蛋白(LDL)/超低密度リポ蛋白(VLDL)、高密度リポ蛋白(HDL)、アルブミン分画を分離し、各分画へのアミオダロンの分布について検討した。その結果、アミオダロンは血清トリグリセリド値の上昇に伴ってLDL/VLDL分画へ分布する割合が増加し、HDLおよびアルブミン分画へ分布する割合が減少していた。よって、高TG値の患者における血清中アミオダロン濃度の増加は、LDL/VLDL分画へのアミオダロン分布の増加が関連していると考えられた。 血清中アミオダロン濃度のLDL/VLDL結合型比率は血清TG値の変動に伴い変化するため、アミオダロンの血清脂質への分布およびそこからの組織移行を考慮することが効果的なアミオダロンの副作用モニタリング法の構築に役立つ可能性がある。
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