2021 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的治療薬による間質性肺疾患の新規予防戦略の構築
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19K07191
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 和宏 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (30610349)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | mTOR阻害薬 / 間質性肺疾患 / STAT3 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
mammalian target of rapamycin (mTOR)阻害薬の投与患者において、Signal Transducer and Activator of Transcription 3 (STAT3)の遺伝子多型を解析し、間質性肺疾患(ILD)の発症との関連を評価した結果、STAT3 -1697C/GのGG保有患者においてILDの発症頻度が有意に高いことを示した。また、ILDの発症は推算のエベロリムスCLとは関連を示さなかった。また、STAT3 -1697C/GのGG保有患者は、他の遺伝子型保有患者と比較してILDの累積発症率が早期に高くなることも明らかになった。臨床研究の結果より、STAT3 -1697C/GのGG保有患者は、より早期にILDを発症しやすく、STAT3遺伝子多型がILDのリスク因子となる可能性を示すものである。 複数のヒト肺胞上皮細胞株のSTAT3 -1697C/Gを解析した結果、細胞株により、その遺伝子型は異なった。ILD発症のリスク因子となるGG保有株のABC-1細胞やEBC-1細胞においては、mTOR阻害薬であるエベリムスを72時間曝露することで、上皮系マーカーであるE-cadherinの発現低下や間葉系マーカーであるFibronectinの発現上昇を認め、ILDの前過程である上皮間葉転換(EMT)の亢進を示唆した。また、CC保有株であるA549細胞においては、エベロリムスの72時間の曝露では、EMT関連マーカーの発現変動を認めなかった。基礎研究の結果より、STAT3遺伝子多型の表現系として、肺胞上皮細胞におけるエベロリムスの誘導するEMTの亢進の生じやすさがILDの発症に関連する可能性を示唆するものである。
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