2022 Fiscal Year Research-status Report
関節液に存在するエステラーゼを利用した変形性膝関節症の病態解析
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19K07195
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
今井 輝子 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (70176478)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エステラーゼ / 変形性膝関節症 / 関節液 / 病態解析 / ブチリルコリンエステラーゼ / パラオキソナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における変形性膝関節症(OA)は65歳以上で、55%にも達し、日本の国民病とも言える疾患である。その病態は数年から十数年をかけて進行し、X線画像によって診断される。OAでは滑膜の炎症に伴う毛細血管の亢進により、関節液中に血漿成分が移行するため、病態の一つとして、関節液が貯留する。本研究では、治療目的で採取される関節液中に存在する血漿由来のエステラーゼ活性と病態グレードとの相関を調べ、測定が簡便な病態診断マーカーとしての応用の可能性を検討している。 ヒト血漿由来のエステラーゼはブチリルコリンエステラーゼ(BChE)とパラオキソナーゼ(PON1)であり、PON1には2つの活性サイト(アリルエステラーゼ 活性とパラオキソナーゼ活性)が存在する。これまでに、BChEの活性および酵素タンパク質の会合状態は病態進行による変動はないことを明らかにした。一方、PON1のアリルエステラーゼ活性とパラオキソナーゼ活性はいずれも、グレードⅠからⅡへ移行する際に約25%低下し、その後一定した。この活性低下にはHDL-コレステロール量やPON1の遺伝子多型は関係せず、酸化ストレスの関与が推測された。 これまでの結果から、病態の早期の進行、すなわち、グレードⅠからⅡの移行について、廃棄処分される関節液中に高濃度で存在するPON1の活性が診断マーカーの一つになり得ることを提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、実験が遅れ、学会での発表・議論が順調ではなかった。 昨年度までに、実験は概ね終わったことから、今年度は統計の専門家の意見を聞きながら、解析を充実させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
患者背景の臨床データと関節液中のPONⅠ活性との相関について、統計学的な解析を充実させ、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために、実験が予定通りに進まず、次年度使用額が生じた。次年度は論文執筆のための英文チェックおよび投稿料に利用する予定である。
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