2019 Fiscal Year Research-status Report
小児用製剤への応用を目指した、調剤機器を用いた顆粒剤調製法の構築
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19K07196
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
宮嵜 靖則 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (40551742)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造粒法 / 自転公転式ミキサー / 針入抵抗値 / 塑性限界値 / 処方因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
著者らは小児薬物療法に資する臨床現場製剤として調剤性および使用性に優れた顆粒剤を提案している。本研究では、医療機関で実現可能とするために、調剤機器(自転公転式調剤ミキサー、PCM)を用いた革新的な造粒方法の開発し、さらに顆粒剤に機能性を付与し新たな小児用製剤を開発することを目的としている。 初年度はPCMを用いた造粒法において、造粒物の物性に影響を与える因子を抽出し、その制御方法を検討した。まず、結合水の添加量が重要な因子となることから、添加剤の塑性限界値(粉体の空隙が結合液で完全置換されるときの液量)に基づく適正量の決定法を確立した。その基礎として、添加剤の塑性限界値を正確かつ簡便に検出する手法が必要となる。そこで、添加剤練合物の針入抵抗値をデジタルフォースメータで測定することにより、精密かつ迅速に塑性限界値を測定する新規の手法を確立した。次いで、測定した塑性限界値とPCMの回転速度および回転時間との関係を網羅的に調べた。その結果、粒径が等しい造粒物を得ようとする場合、回転時間と結合水添加量が反比例の関係にあることを見出し、造粒を可能とする結合水添加量は塑性限界値の60-75%の範囲内で一義的に決定できた。 さらに、モデル製剤として20%イブプロフェン顆粒を調製し、製剤特性を評価することにより処方因子の影響について検討した。その結果、結合剤はカルメロースナトリウムが、滑沢剤はタルクが優れていた。賦形剤は、薬物の含量均一性に影響し、乳糖/デンプンよりマンニットールが優れていた。また、製剤の物性評価を行った。PXRDおよびDSCの結果、薬物の結晶性に影響を及ぼさなかった。また、FT-IRにより、薬物と添加剤の相互作用を評価したが、相互作用は観察されなかった。本年度の結果から、PCMを用いた造粒法により製した顆粒剤の臨床応用への可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として、造粒物の物性に影響を及ぼす調製条件の解明を掲げ、(1)PCMの操作条件、(2)顆粒剤の処方因子、(3)結合水添加量について検討するとした。検討の結果、(3)結合水添加量が最も重要な因子であったことから、デジタルフォースメータを用いて練合物の針入抵抗値をモニターすることにより、添加剤の塑性限界値(Plastic limit value)を精密に求める手法を確立した。次いで、(1)PCMの操作条件のうち、公転速度と造粒時間について明らかとした。自転速度が速いと造粒物が高温となることから、自転速度は公転速度と等しい条件のみとした。そのため実験計画法を用いた重要工程パラメータの検討は不要となった。容器サイズおよび装填率の影響については、7種類のヴェッセルを用い網羅的に検討を行い、現在論文執筆中である。(2)処方因子については、結合剤および滑沢剤について検討し結論を得た。賦形剤についても、含量均一性の観点から一定の結論を得たが、現在、配合量についてラティスセントロイド計画により、最適化及びデザインスペースを検討中である。 以上のように、当初掲げた調製条件の影響について順次解明が進んでいる。さらに同時進行的に、臨床現場への応用研究も進めている。次年度に向けて、臨床現場でのニーズの大きいダントロレンカプセルの顆粒剤化に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、患者に投与可能な顆粒剤の調製プロセスを構築する。小児に対して錠剤粉砕または脱カプセルを行い散剤として投与されている代表的な製剤を用いて検討する。まず、臨床現場でのニーズの大きいダントロレンカプセルの顆粒剤化に取り組む。次いで、プロプラノロール錠粉砕物等をモデル製剤として、製剤処方の決定法について検討する。 静岡県立こども病院と連携し、確立した調製手法を薬剤室に導出し、薬剤師に調製を体験してもらうとともに、顆粒剤の評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2,592円と少額であったことから、端数として残った。 次年度に消耗品に使用したい。
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Research Products
(2 results)