2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of early diagnosis and prognosis prediction system by monitoring of cancer-related antigen CSPG4 specific autoantibodies.
Project/Area Number |
19K07197
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 邦彦 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90221770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 和幸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90514589)
辻 大樹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90565615)
平井 啓太 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30740203)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CSPG4 / がん関連抗原 / 自己抗体 / がんの早期診断 / がんの予後モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、抗CSPG4自己抗体検出系に用いるCSPG4コアタンパク質の抗原部位を決定する目的で、異なるエピトープを認識する3種類の抗体(ヒト型rFab AHSA:自作、抗MCSP抗体:Bethyl Lab、抗CSPG4抗体:Sigma-Aldrich)のCSPG4陽性MDA-MB-435S (435S)に対する反応性を間接蛍光抗体法により検討した。その結果、435S生細胞は、AHSAと強く反応し、抗MCSP抗体と弱く反応したが、抗CSPG4抗体とは全く反応しなかった。一方、4%フォルマリン固定細胞は、いずれの抗体とも強く反応した。CSPG4の細胞外ドメインは、3つのパートから構成されており、AHSAはドメイン1のN末端側、抗MCSP抗体はドメイン1のC末端側、抗CSPG4抗体はドメイン3を認識する。生細胞では、抗体がドメイン1のみにアクセスできた一方で、固定細胞では、ドメイン3にもアクセスできたことから、生細胞のCSPG4ドメイン1以外は、抗体がアクセスしにくい構造となっていることが示唆された。これらの結果よりドメイン1(aa1-640)部分が最も抗原性の高い部位であると考えられた。この仮説を裏付ける目的で、435S生細胞を免疫したマウスの脾細胞より抗体遺伝子ライブラリーを構築し、得られたCSPG4反応性rFabクローンのエピトープ解析を行った結果、ほとんどのクローンがドメイン1の部分配列を認識することが明らかとなった。以上の結果より、ドメイン1部分がCSPG4の抗原性を担っていることが明らかとなった。一方、CSPG4の全長を組み込んだプラスミド(pFN21A B9563: Promega)を293Tに発現させ、部分精製して得られたリコンビナントCSPG4を抗原ソースとして用いたサンドイッチELISA系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、抗CSPG4ヒト型リコンビナントFab AHSAを得たMALTリンパ腫患者骨髄細胞由来の抗体遺伝子ライブラリーから、認識部位の異なるクローンを得る予定であったが、CSPG4陽性細胞をマウスに免疫し、CSPG4に対する免疫応答を惹起することにより、様々なエピトープを認識する多種多様な抗体クローンを得ることが可能ではないかという着想に至り、研究計画を変更した。得られたクローンのエピトープ解析の結果、CSPG4のドメイン1が最も抗原性の高い部位であることを明らかにすることができた。また、リコンビナントCSPG4を抗原としたサンドイッチELISAによる抗CSPG4自己抗体測定系の構築も順調に進んでおり、2020年度中には構築が完了する予定である。このように、当初計画から一部研究方法を変更したものの、研究自体はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、サンドイッチELISAによる抗CSPG4自己抗体測定系を構築し、その信頼性を評価する。具体的には、自己抗体の検出濃度範囲と検出限界を決定するとともに、添加回収試験、日内・日差変動試験を実施する。さらには、CSPG4遺伝子導入がん細胞を用いた腫瘍同種移植マウスモデルを作製し、抗CSPG4抗体の血中への出現の時間経過を追跡するとともに、がんの切除による自己抗体レベルの変化について検討する。さらには、各種がん患者血清(主にステージ4、1がん種あたり20例程度)中の抗CSPG4自己抗体レベルを測定し、陽性率の高いがん種を明らかにする。
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Research Products
(2 results)