2020 Fiscal Year Research-status Report
脂質生合成調節因子MLXIPLに作用するマイクロRNAに関する研究
Project/Area Number |
19K07198
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
柴山 良彦 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (90593822)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | MLXIPL / ChREBP / マイクロRNA / NASH / NAFLD |
Outline of Annual Research Achievements |
目的: MLXIPL(MLX Interacting Protein Like、別名 ChREBP)はトリグリセリド合成を担う遺伝子群を糖質濃度依存的に活性化させる転写因子である。MLXIPLは糖質過剰摂取に伴い、脂質生合成を上昇させるため、脂肪肝などを悪化させると考えられているが、その発現は組織により異なっている。短鎖RNAであるマイクロRNA(miR)は蛋白質への転写を制御し、様々な細胞機能を制御するが、MLXIPLの蛋白質発現を制御するmiRは全く知られていない。本研究では相補的に結合する可能性の高いmiRを細胞内に導入し、MLXIPL発現に及ぼす影響を分析した。 方法と結果: WiDr, COLO201細胞におけるmiRのノックダウン効果を分析した。トランスフェクション法によりmiRを導入した結果、WiDr, COLO201において、miR-4685-5p、-127-5p、-129-5pおよび-134-5pはMLXIPL発現を有意に抑制した。ウエスタンブロット法により蛋白質発現への影響を分析したところ、miR-127-5p、-129-5pおよび-134-5pは蛋白質発現を有意に抑制した。高脂肪食を摂取させたマウス肝臓において、miR-127と -134は大きく上昇していた。これらの結果から高脂肪食はエピジェネティックな変化を及ぼし、miR発現が上昇することでMLXIPLの発現が低下し、トリグリセリド合成を低下する新たな機序が存在する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で以下の成果が得られた。 MLXIPL発現: ウエスタンブロット法により蛋白質の発現を確認したところ、50 kDa程度の非特異的結合が確認できたが、MLXIPLのアミノ酸鎖に相当する100 kDa程度のバンドは確認できなかった。C末端を認識するウサギ抗体(SAB1303516)により100 kDa程度のバンドが確認できた。 高脂肪食がmiRの発現に及ぼす影響: 自由摂食下で110週間飼育したマウス肝臓におけるmiR発現をマイクロアレイ法で分析した。発現がlog2比で3以上(8倍以上あるいは0.125倍以下)の変化を示したのはmiR-127, -134, -154, -154, 299a, -300, -329, -337, -376, -411, -434, -485, -541,-667などが上昇し、-465, -470,- 743,- 871は低下した。普通食と比較して、高脂肪食群において発現が大きく変化したmiRは特定の領域に集中して存在しており、12染色体qF1からqF2にあるmiRは上昇し、X染色体のqA7.1にあるmiRは発現が低下した。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食はエピジェネティックな変化を及ぼすことが報告されており、miRの発現にも影響を及ぼすことが示唆された。発現が上昇したmiRにはmiR-127-5pおよび-134-5pが含まれ、そのmiRはMLXIPLを標的とし、発現を減少させることがin vitro実験で確認できた。高脂肪食を慢性的に摂取すると、エピジェネティックな変化を及ぼし、MLXIPLの発現を低下させて、トリグリセリド合成を低下させる機序が考えられる。今後は高脂肪食がmiR発現に影響する機序を解明するため、クロマチン免疫沈降アッセイ(ChIPアッセイ)を用いて、ヒストン修飾と転写調節の機能解析を進める。
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