2019 Fiscal Year Research-status Report
Do anti-preeclamptic drugs diminish efficacy of bevacizumab?
Project/Area Number |
19K07207
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
恩田 健二 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (50318185)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ベバシズマブ / 血管新生阻害薬 / 抗腫瘍効果 / 妊娠高血圧腎症 / ニコランジル / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、妊娠高血圧腎症の治療薬候補として提案されている医薬品(抗PE薬)がベバシズマブ(BEV)等の血管新生阻害薬の効果を減弱する可能性を検討するため、以下の検討を行った。①3次元共培養ヒトミニ腫瘍モデルとして、ヒト血管内皮細胞、ヒト正常線維芽細胞、およびヒト乳癌細胞(MDA-MB-231)または肺癌細胞株(A549)を懸垂培養により共培養して得たミニ腫瘍をコラーゲンゲルに埋設し浸潤能を評価した。抗PE薬(プラバスタチン、エソメプラゾール、シルデナフィル、ニコチナミド、メトホルミン、ニコランジル(NIC))の内、NICがミニ腫瘍の浸潤を有意に促進し、さらに同時添加したBEVによる浸潤抑制効果を減弱することを見出した。KATP阻害薬グリベンクラミドの併用でNICの作用が消失したこと等から、KATPチャネルを介していることが明らかとなった。②担癌マウスモデルでのin vivo評価を行った。MDA-MB231-luc細胞を皮下移植した6週齢メスヌードマウス(BALB-c nu/nu)に、血管新生阻害薬のアフリベルセプト(s.c.)およびNIC(p.o.)をそれぞれ単独及び併用投与し、腫瘍体積、血圧を経時的に評価した。AFLの投与は、腫瘍体積を減少させ、血圧(収縮期、拡張期)を有意に増加させた一方、NICの併用投与は、AFLによる血圧上昇と抗腫瘍効果を減弱した。③FDAの大規模有害事象データベースの報告症例を解析した。NICとBEVの併用症例において、BEVの抗腫瘍効果の指標として知られる高血圧の報告症例は存在せず、実臨床データからも、NICによるBEVの効果減弱作用が示唆された。また、BEVとプロトンポンプ阻害薬を併用した症例では高血圧とタンパク尿の報告頻度が有意に低下していることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度において予定していた3次元ミニ腫瘍モデルでの検討は、作用機序の知見まで得ることができ、当初の計画の実験を終えた。続くin vivoの検討についても年度内に着手でき、血管新生阻害薬と抗PE薬であるニコランジルの個体における拮抗作用を個体レベルで証明することができた。基礎データの臨床への橋渡しを検討するため、FDAの大規模有害事象データベースの解析を実施し、基礎データと臨床データの矛盾しないあるいは一貫した知見を得ることができた。これらの結果について、2020年度中に論文投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
ニコランジルに関しては、今後、提携臨床施設における後向き研究や、別途疫学データベースを用いた検討に展開し、両薬物の併用による効果減弱の可能性について引き続き検証する。臨床歴に血管新生阻害薬と併用する症例が多く存在するプロトンポンプ阻害薬に関しては、2020年度in vivo の解析を優先的に実施する。
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Causes of Carryover |
購入品の合計金額に端数が生じたため。来年度の消耗品費として使用する。
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