2020 Fiscal Year Research-status Report
脳-腸-肝異物解毒機構の相関と変動に基づく脳精神疾患薬物治療戦略の構築
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19K07209
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 薬物代謝酵素 / 脳疾患 / 発現変動 / 肝 / 小腸 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、カイニン酸誘発性てんかんモデルラットの小腸においてCYP1A1のmRNA発現量が減少することを明らかにしたが、今年度はその変動メカニズムの解明を目的に実験を進めた。その結果、てんかん発作により、CYP1A1の発現を調節する多環芳香族炭化水素受容体のmRNA発現量に変動は認められず、また、その核内移行量にも影響は認められなかった。一方で、CYP1A1の発現調節に関わるNF-E2-related factor 2に関しても、てんかん発作によるmRNA発現量の変動や、核内移行性の変化は認められなかった。従って、これら以外の因子によってCYP1A1の発現が低下したことが考えられる。 また、てんかん発作により、肝や小腸では発現の変動が認められなかったが、脳内での発現が低下したCYP2J3について、その変動メカニズムの検討を行った。CYP2J3はsignal transducer and activator of transcription 5B(STAT5B)の核内移行量が増加すると、発現が低下することが報告されているが、てんかん発作により、小脳、皮質、海馬でのSTAT5Bの核内移行量に増加は認められなかった。現在、CYP2J3の発現調節を担うペルオキシソーム増殖剤応答性受容体について検討を行っているところである。 さらに今年度は、脳機能に影響を及ぼす可能性のあるストレスに関する検討を行った。ラットに拘束ストレスを与えた後、ブリストルスケールによる糞便の性状を分類したところ、やや柔らかい便に変化した。そこで、脳における薬物代謝酵素の発現変動を解析した。その結果、一部の抱合酵素の発現変動が認められた。脳以外の部位については検討が行えていないので、次年度、検討を行うと同時に、その発現変動メカニズムの解明を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出で、大学が閉鎖されたり、研究活動が制限された期間があったため、本申請課題の進行が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、薬物代謝酵素の脳-腸相関について検討するためにも、腸内細菌叢を変動させたときに、脳や肝、肝外臓器における薬物代謝酵素の発現変動を明らかにする予定である。令和3年度も、新型コロナウイルス感染症の罹患状況により研究活動が制限される可能性は否定できないが、可能な限り計画に則って研究活動を実施する予定である。
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