2023 Fiscal Year Research-status Report
リアルワールドデータを用いたバイオシミラーの臨床的同等性評価と影響因子の分析
Project/Area Number |
19K07210
|
Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
佐井 君江 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 主任研究官 (20195960)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 嗣道 東京理科大学, 薬学部薬学科, 准教授 (50305950)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | バイオシミラー / リアルワールドデータ / 抗TNFα抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究は、リアルワールドデータを用いて、バイオシミラー(BS)の先行品との臨床的同等性の評価、ならびに同等性に影響する要因について分析・考察することを目的とする。令和5年度は、医療機関のデータベースを用いて、インフリキシマブの先行品(IFX-R)と全BS(IFX-BS)の処方動向、ならびに治療継続期間に関して、主な適応症別に、IFX-RとIFX-後続1(IFX-BS1)との間で比較し、臨床上の差の有無や要因について考察した。【方法】JMDC医療機関データベース(2014年4月~2022年10月)より、IFX処方症例データ(全6340例)を抽出し、製剤別の処方総数の年次推移を調査した。次に、主な適応症ごとに、IFX-BS1単独群(651例)の2年間までの治療継続期間について、背景(年齢層、性別、合併症、他のバイオ製剤の使用歴)で調整した比例ハザードモデルを用いて、IFX-R単独群(4976例)と比較した。【結果・考察】IFX-BS(BS1~BS3)の処方総数は、2015年(0.5%)から2022年(23.7%)にかけて徐々に増加していた。治療継続期間は、関節リウマチ及び潰瘍性大腸炎の症例では群間で有意な差は見られず、クローン病の症例では、IFX-BS1単独群はIFX-R単独群より短期の傾向にあったが、新規(60日以上のIFX前処方歴無し)の症例では有意差は無かった。治療継続期間は、合併症や他のバイオ製剤治療歴により短縮する可能性が示唆された。【結論】本結果より、IFX-BSの普及はなおも限定的であるが、適応症により治療継続性に違いが見られる場合があり、その要因として合併症や治療歴の違いが寄与する可能性が示唆された。さらに症例数を蓄積し、より詳細な要因分析が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度からの新型コロナウイルス感染症対策の緊急業務は令和3年度に一旦終了したが、令和4年度より(~令和6年度まで)新たなコロナ対策関連の業務が開始されたことに伴い、計画の実施に遅れが生じている。そのため、今年度はNDBを用いる本解析に取り組むことは出来なかったが、医療機関のデータベースを用いた試行的な解析を実施し、NDBの集団よりは小規模であるが、全国的な動向を把握することができたものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度もコロナ対策関連の業務が継続しているため、状況により実施項目を見直す可能性があるが、令和5年度の医療機関データベースを用いた解析結果は、前年度の全国規模のNDBオープンデータを用いた処方実態調査の傾向を反映しており、治療継続性の要因分析も可能であることが示唆されたことから、引き続き、有害事象の解析とともに、より詳細な要因分析を実施することとし、これらの結果を踏まえ、NDBの本解析に取り組む予定である。
|
Causes of Carryover |
令和5年度も新型コロナウイルス感染症等の業務継続により、予定していた学会参加等が困難となり、使用額が変更となった。繰越額は、令和6年度の学会参加費、及び関連研究の文献調査や、公開データを用いた解析に係る人件費に使用する予定である。
|