2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K07213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小原 拓 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 准教授 (80612019)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小児 / 向精神薬 / 薬剤疫学 / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
株式会社JMDCが保有する健康保険組合のClaims Databaseに基づいて、小児における注意欠如・多動性障害(ADHD)に対する治療薬であるメチルフェニデート徐放錠:OROS-MPH、アトモキセチン;ATX)と心血管系疾患リスクとの関連を推定することを目的に、7,773人の小児を対象とした後ろ向きコホート研究を実施してきた。これまでに、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、高血圧症などをアウトカムとするCOX比例ハザードモデル解析によって、ADHD治療薬処方群における心血管系イベントのリスクが高値であったことなどを明らかにした。更に、アウトカムの一つである不整脈の重症度を考慮した感度解析を行い、対象者数が減少したものの、いずれの感度解析においてもハザード比の点推定値は1を超えており、ADHD治療薬処方群で不整脈と正に関連していた。 株式会社Medical Data Visionが保有するDPC病院のAdministrative Databaseに基づいて、てんかんの小児外来患者(0~17歳)に対する抗てんかん薬の処方動向を評価した。女児では、バルプロ酸とカルバマゼピンがそれぞれ37.9%から26.8%、24.8%から15.8%に減少し、逆にレベチラセタムの処方の割合は6.4%から28.2%に増加していた。男児では、バルプロ酸とカルバマゼピンがそれぞれ36.6%から32.2%、26.4%から16.9%に減少し、レベチラセタムの処方比率は5.6%から23.0%に増加していた。全体としてバルプロ酸とカルバマゼピンの処方割合は減少し、レベチラセタムの処方割合が増加していた。日本の小児てんかん外来患者における抗てんかん薬処方の傾向は、より最近に発売された抗てんかん薬にシフトしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADHD治療薬処方群における心血管系イベントのリスクが高値であったことを明らかにした時点で国際学術雑誌に投稿し、投稿後の査読コメントに基づいて、再解析・感度分析を行った。現在、本結果と合わせて再投稿準備中である。 DPCデータを活用した児に対する向精神薬処方動向の集計に関しては、ADHD治療薬に加え、抗てんかん薬に関する集計を明らかにし、国際誌に投稿・掲載した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、検討に用いるデータベースの更なる拡張も視野に入れながら、これまで得られた結果を論文という形で公表し、臨床現場にフィードバック可能な情報とする。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、学会参加等が見送りとなり、次年度使用額が生じた。次年度はさらに成果創出を進めるとともに、これまでの成果を集約する。
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