2020 Fiscal Year Research-status Report
次世代中枢創薬のための階層型三次元共培養によるヒト不死化細胞ミニブレイン創成
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19K07214
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
降幡 知巳 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (80401008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 伸彦 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (90342956)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / スフェロイド / 不死化細胞 / 生体模倣 / in vitroモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は血液脳関門機能を有するミニブレインの実証とその機能向上を目指した培養法の改良を行った。まず、高分子薬物モデル(70Kおよび4Kデキストラン)、低分子薬物モデルとしてルシファーイエローとローダミン123を用いて、前年度までの手法にて構築したミニブレイン(第1世代)における血液脳関門機能を解析した。その結果、いずれの化合物においても脳毛細血管内皮細胞によるバリア機能が認められた。さらに、エラクリダー(P糖タンパク質阻害剤)を用いた実験より、ローダミン123に対するバリア機能には、P糖タンパク質が関与していることが明らかとなった。これら結果により、第1世代のミニブレインは基本的な血液脳関門機能を保持していると考えられた。 そこでその機能をさらに向上させるために、ミニブレイン構築方法の改良を行った。細胞播種数、細胞の播種順など複数の条件を検討したところ、内皮細胞とペリサイトの比率を下げる方法により、内皮細胞上に発現するP糖タンパク質の発現量が上昇することが明らかとなった。したがって、細胞培養条件はミニブレインにおける血液脳関門機能に大きな影響を及ぼしうることが明らかとなり、今後、細胞基底膜、培地組成など複数の項目にわたって検討を行う必要がある。また、この観点から、研究分担者が持つ特殊なスフェロイド作成技術も導入していく予定である。 また、さらなる生体模倣や機能向上を目指し、ミニブレインへの神経細胞やミクログリアの導入も予定している。そこで、まずiPS由来神経細胞の導入を試みた。その結果、スフェロイド内で神経が突起を延ばす様子が観察された。今後、培養条件の最適化を行い、神経細胞が機能するミニブレインの確立を進めていく予定である。 上述の研究成果について論文投稿中であり、令和3年度中に受理される見込みとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による大学のロックダウンおよびその後の入構制限や教室活動における人数制限のため、十分な研究時間が確保できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、神経細胞を組み込んだミニブレインを構築し、第1世代との血液脳関門機能比較を行う。神経細胞は当初不死化神経細胞を作成する予定であったが、樹立までまだ時間を要することから、入手可能な神経由来細胞株またはiPS由来試験細胞を用いる。本ミニブレインを用い、種々の薬物を用いた薬理発現解析や毒性発現解析を行い、ミニブレインの創薬安全性試験、薬理試験への応用性を検証する。 また、receptor-mediated transcytosis(RMT)による高分子の脳内移行の解析手法を確立する。さらにRMT受容体の発現変動や機能変動に関わる解析を行い、RMTを介した高分子薬物の脳内移行を変動させる要因の探索も行う。これらにより、ミニブレインの薬物動態、薬剤分野への応用性を検証するとともに、臨床における薬効発現の個人差につながる因子を見出す。 上記において研究分担者の技術を適宜導入し、モデルの機能の有用性を向上させる。
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