2023 Fiscal Year Annual Research Report
Exploratory reseach of global development pathways of new drugs and optimization in local populations
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19K07215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 俊介 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (40345591)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新薬グローバル開発 / 新薬開発戦略 / 有効性・安全性 / 異質性 / 臨床エビデンス / 副作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、当初計画どおり、第一に、米国FDAの承認審査における有効性判断の閾値についてClinicalTrial.govなどのデータベースから得られたデータに基づく分析を行った。その結果、全生存期間(OS)に関するハザード比で見た承認の閾値が0.71程度であることなどが分かった。この閾値は薬剤、疾患、開発状況などの変数を調整してもほぼ一定の値を示した。これらは、観察期間を通じて市場に登場する新薬の種類が変化する中で、承認された新薬の「有効性の漸増的な改善」の程度がほぼ一定に保たれていることを示しており、グローバル開発が一般化した近年においても有効性の改善に係る期待と実績に大きな変化はないことが明らかになった。 第二に、医薬品アクセス改善を目指して米国が実施している迅速承認(accelerated approval)制度の実績と、制度が生み出した帰結の背景にあるメカニズムの分析を行った。1992年から2021年迅速承認された抗がん剤を分析した結果、54%の品目が単一の試験で承認されていること、迅速承認時点で比較的充実した結果が提出された品目では通常承認に向けての追加要求が少ないことなどが明らかになり、新薬の早期アクセスとエビデンスの質・量に係るトレードオフの実態を明らかにすることができた。 第三に、新薬による治療対象となる部分集団(患者範囲)が有効性・安全性の検討によって近年どのように変化しているのかを、抗がん剤領域のエンドポイントの選択、バイオマーカーの活用状況を通じて分析した。その結果、バイオマーカーを用いた個別化戦略が分析対象品目の半数以上で見出されたこと、バイオマーカーの活用は必ずしも(単純な)有効性の改善を導くものではなく、むしろ市場での競合を念頭においた新薬の位置づけを明確にするために実施されている可能性が高いことなどが明らかになった。
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Research Products
(5 results)