2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム薬理学を応用した国際共同臨床研究推進のための基盤構築
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19K07218
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 真貴子 大阪大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (70461168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤尾 慈 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20359839)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際共同研究 / ゲノム薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
心不全患者におけるカルベジロール(以下、本剤)の投与は、最小用量(2.5㎎/day)から開始し、慎重な観察の下、患者の忍容性に応じて、漸増投与がなされる。承認されている本剤最大投与量は、日本では20mg/dayであるが、米国は100㎎/dayとなっている。本研究では、日本人患者における低用量投与は十分な効果を得ることができているかについて、高用量投与が可能なアジア系アメリカ人を対象に比較観察することとした。更に、高用量投与されるアジア系アメリカ人における本剤に対する忍容性についても調査することとした。その結果、実際に日本人患者群の平均最大投与量(11.3±6.5㎎/day)は米国患者群(白人;39.2±23.5㎎/day、アジア系アメリカ人;33.6±21.8㎎/day)と比較して半量以下となっていたが、薬剤による心機能への影響等を含めた有効性については、日本人患者群及び米国人患者群は同程度であった。薬剤に対する忍容性について、投与中断及び投与量減量を経験した患者の割合で評価したところ、高用量を投薬されていたアジア系アメリカ人において、中断・減量を経験する患者の割合が高く、忍容性が低いものと考えられた。以上のことより、本剤の応答性には遺伝的要因が関与しており、一部のアジア系心不全患者においては、本剤低用量投与によって適切な有効性及び安全性が得られる可能性が示唆された。現在、患者背景の違いを考慮して追加解析を実施し、得られた結果の頑健性を確認している。 また、遺伝・環境要因によって投与量が大きく影響されるワルファリンについて、日本人の心房細動患者を対象に構築された予測式が補助人工心臓装着(以下、LVAD)患者にも応用可能であることを確認したが、遺伝的要因の影響を受けるため、日本人には日本人のデータを用いて構築された予測式がより予測精度が高くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナの影響により、国際共同臨床研究の進捗が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな考察を得るため、更なる解析を進める。また、これまでの成果については報告(論文投稿)を完了する予定。
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Causes of Carryover |
繰越が発生したため
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