2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腸管におけるCYP3A4誘導の分子機序及び肝臓との異同の解明
Project/Area Number |
19K07226
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
保坂 卓臣 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (30611579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志津 怜太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50803912)
佐々木 崇光 静岡県立大学, 薬学部, 客員共同研究員 (20382674)
吉成 浩一 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60343399)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腸管 / 肝臓 / 酵素誘導 / CYP3A4 / PPARγ / PXR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒト肝臓由来細胞とヒト腸管由来細胞での種々薬物によるCYP3A4酵素誘導作用の異同を明らかにし、腸管独自の酵素誘導機序が存在するならば、その機序を解明することを目的とした。 昨年度までの研究により、ヒト腸管由来LS180細胞でのRosiglitazone (Ros) によるCYP3A4誘導には、低濃度ではPPARγが、高濃度ではPPARγとPXRが関与することが示唆された。今年度は主にこの機序を明らかにするため、CYP3A4誘導に関与するPPARγ応答配列の同定を目指した。 ChIP-Seqのデータベースを検索したところ、ヒト腸管由来HT-29細胞での抗PPARγ抗体を用いたChIP-Seqデータが見つかったため、CYP3A4遺伝子周辺のピークを調べた。その結果、遺伝子下流にピークを発見し、この配列(約500 bp)がCYP3A4エンハンサーとして機能するかルシフェラーゼレポーターアッセイにて調べた。CYP3A4近位プロモーターと既知の遠位エンハンサー(PXR応答配列を含む)をルシフェラーゼ遺伝子上流に組込んだレポータープラスミド(p3A4)を用いた場合は、低濃度RosによるLS180細胞でのレポーター活性増加は全く認められなかったが、上述の配列をp3A4のルシフェラーゼ遺伝子下流に組込んだレポータープラスミドを用いた場合は有意な活性増加が認められた。転写因子結合サイトの予測データベースを用いてこの配列内のPPARγ応答配列を検索したところ、3か所が候補として見つかったため、3か所全てを欠損させたレポータープラスミドを作製してアッセイを行った。その結果、この変異により低濃度Rosによるレポーター活性の増加は完全に消失した。 以上より、ヒト腸管でのRosによるCYP3A4誘導に寄与すると考えられるPPARγ応答配列をCYP3A4遺伝子下流に見出すことに成功した。
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