2019 Fiscal Year Research-status Report
Stress-induced suppression of milk production, and the influence of noradrenaline in human milk on infant development
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19K07227
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
千葉 健史 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (80552926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 智司 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (60303294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ストレス / ノルアドレナリン / β-カゼイン / チロシン水酸化酵素 / 母乳 |
Outline of Annual Research Achievements |
授乳期のストレスは、母乳成分の変化を引き起こすことが分かっているが、これらを関連づける因子は明らかにされていない。今年度は、ストレスと母乳成分の変化を関連づける因子として、母乳中に含まれるノルアドレナリン(NA)に着目し、種々検討を行った。具体的には、授乳マウスを用いて、授乳期のストレス負荷が、母乳中のNA濃度や、母乳タンパク質の一つであるβ-カゼイン濃度に影響を与えるか否かを評価した。また、ストレス負荷マウスから採取した乳腺組織を用いて、NA合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)の発現量がストレスによってどのように変化するのかも調べた。ストレス負荷マーカーとして、血漿中のコルチゾール濃度も併せて評価した。なお、母乳中NA濃度およびβ-カゼイン濃度、血漿中コルチゾール濃度は、それぞれELISA法を用いて評価し、TH発現量はウェスタンブロット法を用いて評価した。 拘束ストレスを3日間負荷したマウス(ストレス群)におけるコルチゾール濃度は、非ストレス群と比べて有意に高い値を示した。また、ストレス群の母乳中NA濃度は、非ストレス群に比べて有意に高く、乳腺組織におけるTH発現量も有意に高いという結果が得られた。さらに、ストレス群における母乳中β-カゼイン濃度は、非ストレス群に比べて有意に低いという結果が得られた。 これらの結果から、授乳期のストレス暴露は、母乳中NA濃度を増加させることが明らかとなり、このNA濃度の増加には、乳腺組織におけるTH発現量の上昇が関与していることが示唆された。また、ストレスによる母乳中のβ-カゼイン濃度の減少と、母乳中のNA濃度の増加との間には関連性がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画では、動物モデルを用いて、授乳期のストレスと、母乳中のノルアドレナリン濃度、β-カゼイン濃度、乳腺組織におけるチロシン水酸化酵素の発現量との関連性をそれぞれ解析することを目標としており、これらの目標はおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は計画通り、ヒト母乳中のノルアドレナリン濃度の測定を目標に進めていく予定である。また母乳試料収集のために必要となる岩手医科大学倫理審査委員会への承認手続きは既に終了している。
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Causes of Carryover |
今年度は、2月からコロナウイルスの影響があり、研究体制に支障が出たため次年度使用額が生じてしまった。
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Research Products
(4 results)