2021 Fiscal Year Annual Research Report
Stress-induced suppression of milk production, and the influence of noradrenaline in human milk on infant development
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19K07227
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
千葉 健史 北海道科学大学, 薬学部, 講師 (80552926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 智司 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (60303294)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 乳腺上皮細胞 / 母乳 / ノルエピネフリン / ノルエピネフリントランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究実績において、我々は、乳腺上皮細胞がノルエピネフリン(NE)を合成し、母乳中へ分泌していることを明らかにしてきた。これまでに、NEを合成するいくつかの組織・細胞は、NEトランスポーター(NET)を発現していることが分かっている。このことから、乳腺上皮細胞にもNETが発現している可能性が高いと考えられるが、ヒトを含めた全動物種において、乳腺上皮細胞におけるNETの発現に関する報告はない。今年度は、乳腺上皮細胞におけるNETの発現と機能特性について評価を行った。 始めに、3つのヒト乳腺上皮細胞(正常ヒト乳腺上皮細胞(HMEC)、MCF-10A、MCF-12A)を用いて、リアルタイムPCR法およびウェスタンブロット法によりNET発現の有無を調べた。その結果、全ての細胞において、NETのmRNAおよびタンパク質発現が確認された。次に、乳腺上皮におけるNET発現の局在を調べるために、授乳期10日目のCD1マウスから採取した乳腺上皮切片を用いて、NETの免疫蛍光染色解析を行った。その結果、NETは、乳腺上皮のアピカル側(母乳側)に発現していることが明らかとなった。さらに、NETの輸送特性を調べるために、NET siRNAを導入したHMECを用いて、20μMのNEを含む培地で10分間処理した際の細胞内NE量を調べた。NET siRNAを導入したHMECの細胞内NE量は、コントロールsiRNAを導入したHMECに比べて有意に高いという結果が得られた。この結果から、HMECに発現するNETは、細胞外のNEを細胞内に取り込む機能を有していることが分かった。 以上の結果から、乳腺上皮細胞に発現するNETは、アピカル側の細胞膜に局在しており、このNETは母乳中のNEを細胞内に取り込む機能を有していることが明らかとなった。
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