2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K07232
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
水野 智博 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (40711669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 彰一 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10362253)
坪井 直毅 藤田医科大学, 医学部, 教授 (50566958)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒストン誘発性致死性血栓症 / 補体3型受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、補体3型受容体(Mac-1:CD11b/CD18)および補体関連物質がヒストン誘発性致死性血栓症の発症および進展にどのように寄与しているのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。2019年度の成果として、Mac-1欠損マウスでは、野生型マウスに比して、ヒストン投与(45μg/g体重)後の生存期間が延長し、組織障害についても、軽度であった。一方、PT、APTTについてはMac-1欠損および野生型マウス間で差が認められなかった。上記結果を踏まえ、Leukoladherin-1(LA-1)を用い、Mac-1を一時的に活性化させることで、上記遺伝子改変マウスと比較して、ヒストンによる反応性が異なるかどうかを検討したところ、LA-1投与により致死性血栓症の増悪が認められなかった。そこで、2020年度は、ヒストン投与量を60μg/g体重に増量し、再度検討を行った。野生型と比較してMac-1欠損マウスでは生存期間の延長が認められ、血小板減少、血小板-白血球複合体(PLAs)形成率、肝障害、凝固障害が有意に軽減した。野生型マウスに対して、LA-1投与を行い致死性血栓症を惹起させたところ、肺障害がLA-1非投与群に比して、増悪傾向であった。以上の内容を踏まえ、Mac-1が致死性血栓症の発症・進展に寄与していることが示唆された。Mac-1以外の補体関連物質がヒストン誘発性致死性血栓症の発症および進展にどのように寄与しているのか検討を行ったところ、膜補体制御因子であるCrryの発現は、致死性血栓症モデル動物の肺組織で、ヒストン投与量依存的に減少していることを確認した。本成果については、2020年度に論文投稿を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度はヒストン投与による一部のフェノタイプが認められなかったものの、増量することにより、想定していた結果が得られた。また、Mac-1以外の補体関連物質(Crry)がヒストン誘発性致死性血栓症の重症化に伴い発現低下することも確認でき、すでに論文投稿を行っている。当初の計画になかった新規知見を得ることができたため、計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒストン投与による肺障害は、LA-1前投与により増悪傾向を示したため、肺における組織解析およびPLAs形成等について、解析を行う。これらの解析により良好な結果が得られた場合、急性肺障害患者の診療録データ活用も検討する。
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Causes of Carryover |
昨年度同様、当初研究成果発表を想定していた学会がCOVID-19対策のためオンライン開催となり、旅費該当分について、次年度使用額が発生した。次年度開催予定の別学会での使用を予定している。
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Research Products
(2 results)