2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ炭素材料が生体の異物処理機構に及ぼす影響と生体安全性に関する網羅的評価
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19K07233
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
灘井 雅行 名城大学, 薬学部, 教授 (00295544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 美紀 名城大学, 薬学部, 准教授 (70345594)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ炭素材料 / カーボンナノチューブ / UGP-グルクロン酸転移酵素活性 / ヒト肝ミクロソーム / ヒトUGT発現系ミクロソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ナノ炭素材料としてカーボンナノチューブEC1.5-P-SWNCT (EC1.5-P)とFH-P-SWCNT (FH-P)、カーボンブラック、フラーレン-C60および-C70を用い、UGP-グルクロン酸転移酵素活性に及ぼす影響を検討した。酵素源にヒト肝ミクロソームを用いた場合、UGT1A1の指標活性であるβ-エストラジオール3-グルクロン酸抱合活性、UGT1A4の指標活性であるイミプラミンN-グルクロン酸抱合活性は、10 μg/mLのEC1.5-PとFH-Pの存在下で低下したが、他のナノ炭素材料では影響が認められなかった。また、UGT1A6の指標活性であるセロトニングルクロン酸抱合活性は、全てのナノ炭素材料で大きな変動は認められなかった。ヒトUGT発現系ミクロソームを酵素源とした場合でも同様の傾向を示した。一方、UGT1A9の指標活性であるプロポフォールグルクロン酸抱合活性は、FH-Pの存在下で有意に上昇した。 次にUGT1A1酵素活性が低下する機序について検討した。ヒト肝ミクロソームとナノ炭素材料分散液を混合、遠心分離し、上清中のナノ炭素材料と結合していない遊離型UGT1A1タンパク質を、SDS-PAGE/ウェスタンブロット分析にて定量した。その結果、EC1.5-PとFH-P存在下では遊離型タンパク質量が減少したが、カーボンブラックでは変化しなかったことから、SWCNTとタンパク質との直接的な相互作用により酵素活性が低下することが明らかになった。 また、FH-P存在下でのプロポフォールグルクロン酸酵素活性を速度論的に解析したところ、ミカエリス定数に変化は認められず、最大酵素反応速度が上昇した。 以上、ナノ炭素材料がUGT1A酵素活性に及ぼす影響は、その材料によって異なるが、特にSWCNTの影響が大きく、また、UGT分子種によっても影響が異なることが明らかなった。
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Research Products
(1 results)