2020 Fiscal Year Research-status Report
第Xa因子阻害薬の体内動態制御機構の解明と薬物療法最適化への応用
Project/Area Number |
19K07234
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上島 智 立命館大学, 薬学部, 准教授 (70734771)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 第Xa因子阻害薬 / 薬物動態 / 母集団薬物速度論 / 薬理遺伝学 / 生物学的薬物速度論 |
Outline of Annual Research Achievements |
心原性脳塞栓症の予防に使用される活性型血液凝固第X因子 (第Xa因子) 阻害薬は、添付文書に記載されている用法・用量に準じて投与しても出血症状が高頻度で認められることが問題になっている。本研究目的は、第Xa因子阻害薬の体内動態の制御機構と体内動態に対する組織の寄与を薬物速度論的手法や母集団薬物速度論的手法、薬物動態関連遺伝子解析により解明し、第Xa因子阻害薬の適正使用の実践に必要な情報を収集することである。令和二年度においては、以下の知見を得た。 (1) アピキサバン内服患者における乳癌耐性タンパク質 (BCRP) を介した薬物間相互作用に関する速度論的解析:文書にて同意を取得した患者を対象に、薬物排出トランスポーターであるBCRPの基質や阻害薬となる薬物の併用がアピキサバンの体内動態に及ぼす影響について、母集団薬物速度論的手法を用いて解析した。その結果、アピキサバンのクリアランスに影響を及ぼす併用薬を明らかにすることができ、その併用薬がアピキサバンのクリアランスに影響を及ぼす大きさは、BCRPの遺伝子多型により異なることが示唆された。 (2) アピキサバンの経細胞輸送特性の評価:ヒト由来の培養細胞を用いて、アピキサバンの経細胞輸送特性を評価した。ヒト結腸癌由来細胞 (Caco-2細胞) におけるアピキサバンの経細胞輸送は排出方向優位であったが、排出方向のアピキサバンの輸送は薬物排出トランスポーターであるP-糖たんぱく質 (P-gp) やBCRPの機能を抑制することでほぼ完全に抑制された。また、(1) でアピキサバンの体内動態に影響を及ぼした併用薬はアピキサバンのBCRPを介した輸送を阻害する一方で、P-gpを介した輸送は阻害しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学や共同研究施設における新型コロナウイルスの感染対策により、研究代表者は一部の臨床研究や基礎研究を次年度に繰り越すなど、当初の研究計画を変更することを余儀なくされた。しかしながら、新型コロナウイルスの感染対策を講じながらも一定の研究成果を上げることができたことを勘案し、概ね順調に進展していると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和二年度では、一部の臨床研究や基礎研究を次年度に繰り越すことになったが、令和三年度に遂行可能と判断していることから、研究計画の変更を特に予定していない。研究最終年度である令和三年度では、臨床研究について引き続きデータを集積しつつ、BCRPを介したアリバーロキサバンの薬物間相互作用に関する母集団薬物動態/ゲノム薬理学的解析を遂行していく。また基礎研究においては、ヒト由来培養細胞を用いたリバーロキサバンのBCRPを介した経細胞輸送実験や、BCRPを介した経細胞輸送薬物相互作用実験を遂行する。また、基礎研究で得られた研究データや文献値を用いて、第Xa因子阻害薬に関する生理学的薬物速度論モデルを構築し、ヒトにおける第Xa因子阻害薬の体内動態に対するP-gpやBCRPの寄与を解明する。基礎研究成果から臨床研究結果の妥当性や臨床的意義を評価する。 これら一連の研究成果については、随時関連学会や学術雑誌で公開する。
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Causes of Carryover |
令和二年度の直接経費のうち、約38%が未執行になった。これはコロナウイルス感染症の影響で、国内外の学会の現地開催が相次いで中止・延期になったことに加えて、研究の一部を次年度に繰り越すことになったことに起因する。 使用計画:令和二年度に遂行できなかった研究に必要な消耗品類については令和三年度に購入することから、予算執行上特に問題ないと考える。研究執行に必要な消耗品類は購入可能な状況にあることから、令和三年度分の研究予算については当初の計画を特に変更することなく執行する。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Incorrect holding angle of dry powder inhaler during the drug-loading step significantly decreases output efficiency2021
Author(s)
Kana Suenaga, Daiki Hira, Eri Ishido, Hiroyoshi Koide, Satoshi Ueshima, Tomoyuki Okuda, Masafumi Yamaguchi, Shin-ya Morita, Hirokazu Okamoto, Tomonobu Okano, Yasutaka Nakano, Tomohiro Terada, and Mikio Kakumoto
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Journal Title
Biological and Pharmaceutical Bulletin
Volume: -
Pages: 掲載確定
Peer Reviewed
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[Presentation] Edoxaban Blood Concentrations vary Considerably and correlate with Anti-Factor Xa Activity in Atrial Fibrillation Patients2020
Author(s)
Minoru Horie, Satoshi Ueshima, Daiki Hira, Toshiya Katsura, Tomohiro Terada, Kouichi Kato, Tomoya Ozawa, Hideki Itoh, Yohei Tabuchi, Miya Horie, Yoshihisa Nakagawa, Takeru Makiyama, Satoshi Shizuta, Asami Kashiwa, Takanori Aizawa, Takeshi Kimura, Moritake Iguchi, Masaharu Akao
Organizer
第84回日本循環器学会学術集会
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[Presentation] Population pharmacokinetics and pharmacogenomics of rivaroxaban in Japanese patients with atrial fibrillation2020
Author(s)
Satoshi Ueshima, Daiki Hira, Kenji Kuwata , Karin Hirata, Yohei Tabuchi, Hideki Itoh , Tomoya Ozawa, Yoshihisa Nakagawa, Minoru Horie, Tomohiro Terada, and Toshiya Katsura
Organizer
第30回日本医療薬学会年会
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[Presentation] Decreased pulmonary delivery due to incorrect holding angle of dry powder inhaler during drug loading step2020
Author(s)
Daiki Hira, Kana Suenaga, Eri Ishido, Hiroyoshi Koide, Satoshi Ueshima, Tomoyuki Okuda, Masafumi Yamaguchi, Shin-ya Morita, Hirokazu Okamoto, Tomonobu Okano, Yasutaka Nakano, Tomohiro Terada, and Mikio Kakumoto
Organizer
第30回日本医療薬学会年会
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