2021 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪幹細胞における薬物輸送解析と腎保護能を有する新規細胞医薬の開発にむけた最適化
Project/Area Number |
19K07235
|
Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹林 裕美子 大阪医科薬科大学, 薬学部, 助教 (50805299)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 脂肪幹細胞 / トランスポーター / 腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内に投与された間葉系幹細胞が障害組織などへの集積性・組織修復作用などを有することが報告されており、再生医療素材としてだけでなく、細胞医薬としての可能性が注目されている。また、脂肪幹細胞は高い分化能を持ち、単離による培養が比較的簡便であることから、医療への実用化が進められている。一方、障害部位などにおいては毛細血管の損傷などによって血液供給が低下し、集積した脂肪幹細胞は低酸素状態にさらされていることが想定されるが、その影響については十分な情報が得られていない。我々は、低酸素誘導因子HIF-1に着目し、HIF-1標的遺伝子であるグルコーストランスポーターGLUT1を選択した。本研究では、低酸素培養したヒト脂肪幹細胞におけるGLUT1発現及び機能変動の解析を行った。 GLUT1 mRNAの発現はリアルタイムPCRによって調査した。GLUT1の基質であるグルコースの輸送を指標とした。さらに、GLUTの機能を正確に評価するために、Na+ freeのメディウムを使用し、GLUT阻害剤であるphloretinを添加した群の値から、vehicleの群の値を差し引いた値をGLUT輸送活性として評価した。 その結果、低酸素条件下で処理することによって、ヒト脂肪幹細胞におけるGLUT1 mRNAは顕著に増加した。さらに、ヒト脂肪幹細胞におけるGLUT輸送活性について検討したところ、低酸素条件下においてGLUT輸送活性は有意な取り込み上昇が観察された。これらの結果は、ヒト脂肪幹細胞におけるトランスポーターの発現・機能変動にHIF-1が一部関与し、ヒト脂肪幹細胞の薬物輸送機能が低酸素環境下で変動する可能性を示唆するものである。
|