2020 Fiscal Year Research-status Report
雌性生殖管原基のCxxc5が制御する雄性生殖管の形態形成機構
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19K07243
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
原田 理代 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80555756)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中腎傍管 / 中腎管 / 精管 / 精嚢 / Cxxc5 |
Outline of Annual Research Achievements |
中腎管(将来の精巣上体、精管、精嚢)と中腎傍管(将来の卵管、子宮、膣)は、胎生期に雌雄同様に形成され、雄では中腎管が分化して中腎傍管が消失し、雌では中腎傍管が分化して中腎管が消失する。我々は、中腎傍管で特異的にCxxc5を欠損させた雄マウスが不妊になることを発見した。本研究では、中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスの雄性生殖管の形態形成異常と不妊の分子機構を解明することで、雄性生殖管形成に対する雌性生殖管の協調的な発生機構を明らかにすることを目的とした。 今年度は、中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスの生殖管形態異常を経時的に解析した。生殖不能な中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄成獣マウスでは、精管と精嚢の分岐部にある精管膨大部腺が大きくなり、精嚢への異所的な精子の流入が見られた。生殖可能な中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄成獣マウスでは、精管膨大部腺の膨張と精嚢への精子の流入がほぼ無かった。これらの結果から、精管精嚢分岐部の構造異常が不妊の原因であると考えられた。次に、より早い発生段階を解析した。生後3日目に、中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスでは、精管遠位部で精管内側に球状嚢胞が存在し、精管が嚢胞方向に屈曲し、嚢胞より下の高さで精管・精嚢の形態異常がみられた。更に、レポーターアレルを導入し、嚢胞の由来を調べた。野生型雄マウスでも、精管遠位部で精管内側に小さな球状の中腎傍管が残存していた。中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスでは、野生型に比べてより高い位置により大きな嚢胞状の構造物が存在し、中腎傍管由来であった。 これらの結果より、野生型でも中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスでも、残存中腎傍管のすぐ近くに精管が配列することが分かった。中腎傍管におけるCXXC5の機能が失われると、中腎傍管の先端がより高い位置で残存し、雄マウスの中腎管遠位部の形態に異常が生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中腎傍管特異的Cxxc5欠損雄マウスの生殖管の形態解析により、不妊の原因となる生殖管の形態異常を特定することが出来た。また、レポーターアレルを導入することで、不妊の根本原因がより高い位置での中腎傍管の残存であることを証明することが出来たので、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中腎傍管で発現するCXXC5が中腎傍管の伸長を制御する分子機構を解析するために、CXXC5の標的候補分子について、中腎傍管特異的Cxxc5欠損マウス胎児の中腎傍管先端部の組織切片を作成し、候補分子の発現変化をタンパク質レベルまたはmRNAレベルで解析する。
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