2021 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変両生類を用いた新たな骨リモデリング機序の解析方法の確立
Project/Area Number |
19K07245
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
雪田 聡 静岡大学, 教育学部, 准教授 (80401214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
林 利憲 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (60580925)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 両生類 / 骨代謝 / Osteoprotegerin / 長管骨 / ゲノム編集 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、哺乳類で骨代謝に重要な遺伝子であるOsteoprotegerin(Opg)に着目し、CRISPR/Cas9システムによりOpg欠損ネッタイツメガエルおよびイベリアトゲイモリを作出して骨組織への影響を検討することを目的としている。これまでに、両種においてOpg遺伝子を欠損していることが強く期待される個体の作出に成功した。 2021年度では、これらの個体について次世代シークエンサーを用いたアンプリコンシークエンスによってゲノム編集効率を確認した。その結果、イベリアトゲイモリにおいては90%を越える変異率が確認できるF1世代を得た。この個体の大腿骨を採取し、マイクロCT解析を行った結果、Opg欠損個体において皮質骨および海綿骨の両方で骨量の低下が示唆された。さらに、組織学的な検討により、Opg欠損個体の大腿骨において破骨細胞数の増加が観察された。Opgは哺乳類において破骨細胞分化を抑制的に調節することが知られており、両生類の骨組織においてもOpgは同様の役割を担うと考えられた。ネッタイツメガエルにおいては次世代を得るに至っておらず、ゲノム編集を行った個体(クリスパント)の解析に留まっているが、PCR法による簡易的なgenotypingによってゲノム編集が起こっていると考えられる個体において、明確な細胞数の増加は認められないものの、破骨細胞の顕著な巨大化が観察された。さらなる詳細な検討が必要ではあるが、この結果は、ネッタイツメガエルにおいてOpgは破骨細胞の成熟または骨吸収能の活性化に強く関与しており、イベリアトゲイモリや哺乳類と異なる機能を担っている可能性が示唆された。さらに、再現性の確認が必要ではあるが、ネッタイツメガエルでのOpg欠損が四肢形成を顕著の早めることを示す結果も得ており、無尾類の四肢形成の開始または変態の進行にOpgが関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)