2021 Fiscal Year Research-status Report
The functional analysis of semaphorin in the neural network formation and higher brain function.
Project/Area Number |
19K07249
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
谷口 雅彦 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (70260346)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軸索ガイダンス / 脳神経系 / 神経発生 / ノックアウトマウス / 高次脳機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
複雑な脳神経系において機能的な神経回路が形成されるためには、標的細胞への神経軸索の正確な投射が必要である。この過程を制御する分子として軸索ガイダンス分子が存在する。軸索ガイダンス分子がどのように神経回路形成に関与しているかという分子機構はまだあまり研究が進んでいない。主として反発性軸索ガイダンス分子として機能するセマフォリンに注目して研究を進めている。本研究の目的は、神経回路形成及び高次脳機能におけるセマフォリンの機能を解明することである。セマフォリンは当初軸索ガイダンス分子として同定され、神経系での研究が進んできた。その後の研究によりセマフォリンは約30種類同定されており、セマフォリンはウイルスからヒトに至るまでの生物に存在する。セマフォリンは神経系以外でも免疫系、癌発生、血管形成、骨形成等に関与しており、創薬のターゲット分子となり得る分子である。 以前マウスにおいて新規セマフォリンであるSema3Gのクローニングに成功した。現在は、特にSema3Gに注目して研究を進めている。Sema3Gは神経系の研究がほとんど進んでいない。Sema3Gは成体脳において主に小脳の顆粒細胞層と海馬に発現している。Sema3Gの脳神経系における機能解析が本研究課題の最大の目的である。Sema3Gの機能解析を行うためにノックアウトマウスを作成した。現在はノックアウトマウスを使用して形態学的解析と行動学的解析を主に行っている。行動解析に関しては計画していた実験はほとんど終わったところであり、興味深い成果が得られたところである。形態学的解析では様々な抗体を使用した解析を海馬と小脳に対して行ったが、海馬において染色に差が出る分子(抗体)や神経投射の差がある分子の同定に成功したところである。その分子は行動解析の結果を説明できる分子であるかを解明するために詳細に解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神経回路形成及び高次脳機能におけるセマフォリン(特にSema3G)の機能を解明することを目的としている。Sema3Gのノックアウトマウスはすでに作成に成功している。このマウスにはLacZ遺伝子が挿入してあるので、X-Gal染色によりSema3Gの発現を簡単に解析できる。このマウスを使用してSema3Gの発現を詳細に解析した。その後、形態学的解析と行動学的解析を当初の計画通りノックアウトマウスを使用して解析を進めている。行動解析にはオスマウスが大量に必要でありマウスを増やすのに予想より時間が掛かったが、ほとんど問題なく行動解析を進めることができ、計画していた行動解析はほとんど終了した。興味深い成果が得られた。また、形態学的解析も様々な抗体を使用して特に海馬での解析を行った。その結果発現や神経投射に差がある分子の同定に成功した。現在はその分子に関して行動解析の結果も考慮して詳細に解析している。このようにほぼ順調に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も今までと同様に脳神経系におけるセマフォリンの機能解析を進めていく計画である。最大の目的はノックアウトマウスを使用した形態学的解析と行動学的解析だが、今後は培養系を使用したシグナル伝達の解析も進めていきたい。形態学的解析に関しては主に抗体を使用した免疫染色法で海馬においてセマフォリンの機能に関与している可能性が高い分子の同定に成功したが、形態学的解析には興味深い解析方法が多種類存在するので(例えばゴルジ染色)、他にも様々な方法を試してみることを計画している。また、可能なら電気生理学的解析も行いたい。これらの解析により、神経系におけるセマフォリンの機能を明らかにして、高次脳機能や神経疾患治療に有益な成果も得たい。
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Causes of Carryover |
形態学的解析に使用した抗体等がメーカーのキャンペーン価格の利用等により計画より安くなった。行動解析に必要な費用とマウス飼育の費用も計画より安くなった。また、これが一番大きな理由であるが、コロナウイルス感染拡大による移動自粛により出張がなくなったために研究費の次年度使用が生じた。 使用計画だが、次年度で行うのはセマフォリンノックアウトマウスの形態学的解析、シグナル伝達解析である。これらの解析において生化学実験試薬、免疫染色用抗体、プラスチック器具、マウス等を使用するので、これらに研究費を使用する。また、現在の日本や世界の感染状況が落ち着くのが条件であるが、次年度は出張が計画通りに可能になることを希望する。
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