2021 Fiscal Year Research-status Report
減数分裂チェックポイントによる細胞死誘導とその制御機構
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19K07262
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
向後 寛 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20282387)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対合チェックポイント / 減数分裂 / リン酸化 / ゲノム編集 / 細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の減数分裂に必須なタンパク質であるHORMAD1やその近縁分子で減数分裂チェックポイントに必要なHORMAD2は、複数のリン酸化修飾を受けることが知られているが、各リン酸化の機能的意義はほとんど明らかにされていない。HORMAD2のC末端付近には3ヶ所のリン酸化部位(Ser284/287/288)が存在しており、これまでにゲノム編集により非リン酸化型(Ala284/287/288)とリン酸化模倣型(Asp284/287/288)に改変したマウスを作製して表現型解析を進めている。これまでに行った卵巣重量の解析では、非リン酸化型HORMAD2マウスの卵巣では、SPO11欠損などにより対合不全を多数生じた際に、野性型HORMAD2の卵巣よりも卵母細胞が減少する可能性が示されている。但し、実際の卵母細胞数や細胞死の定量的解析はまだ途中段階であり、更なる解析が必要である。一方で、リン酸化模倣型HORMAD2マウスの卵巣重量は野性型と同等であり、HORMAD2のリン酸化によって細胞死が完全に抑制されるわけではないことも示された。今後の解析としては、さまざまな条件下での各変異体の挙動について、特に核内ドメインや染色体軸への局在を詳細に解析し、各変異体による細胞死誘導活性と核内での分子挙動との関係を理解することなど、上記の結果を統一的に理解・説明できるような分子の挙動に焦点を当てて解析を進める必要があると考えている。また、対合チェックポイントの分子機構の解明につながるようなHORMAD2を含む分子複合体の解析は、未だ十分に進める事ができておらず、今後集中的に解析を進めていきたい課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
HORMAD2の3ヶ所のリン酸化部位について、全ての部位を非リン酸化型とリン酸化模倣型に改変したマウスの表現型解析により、リン酸化によって細胞死活性が調節されている可能性が示唆されたことは、想定以上の成果である。一方、その結果が単純には解釈できないという点や、当初計画していたHORMAD2の2種類のリン酸化状態それぞれに特異的なモノクローナル抗体の作製、細胞死誘導の分子機構の解析については、昨年度に引き続き解析の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
HORMAD2のリン酸化状態と細胞死誘導活性が単純には対応しないと思われるため、各変異体の細胞内局在について、詳細に解析し直す必要があると考えている。具体的には、一部の変異体で、ある核内ドメインへの局在傾向に違いが見られたため、その局在のしやすさと細胞死誘導活性の間の関係を検討したいと考え、それらのドメインのマーカータンパク質の抗体の作製などを行っている。また、野性型で実際に存在するマウスHORMAD2の2種類のリン酸化状態についても同様の解析を行うため、特異的なモノクローナル抗体を作製して、免疫組織染色による形態学的解析を進める。同時に、非リン酸化型とリン酸化模倣型の変異体と結合するタンパク質(複合体)を免疫沈降法などにより同定をすることによって、HORMAD2のリン酸化の機能的意義の解析を進めていきたい。
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Causes of Carryover |
タンパク質複合体の質量分析や、モノクローナル抗体の作製に着手できていないことが主な理由と考えている。次年度には、いずれにも着手したいと考えている。また、研究成果の論文発表にも使用したい。
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Research Products
(3 results)