2019 Fiscal Year Research-status Report
咽頭嚢からの胸腺の分離移動を制御するRipply3の機能モチーフと胚葉特異的役割
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19K07274
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大久保 直 北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 咽頭弓 / 胸腺形成 / Ripply3 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスのRipply3は、胎生8-11日の咽頭弓内胚葉と外胚葉に特異的に発現し、咽頭弓分節とそれに続く咽頭嚢からの胸腺の正常な分離・移動に必須な遺伝子である。培養細胞を用いた解析から、Ripply3はTbx1の転写抑制に関与するだけでなく、アダプター分子として様々な分子と相互作用していると予想されるが、生体内での詳細な機能は分かっていない。まず本研究では、Ripply3のアミノ酸配列において進化的に保存されているモチーフに変異を導入したノックイン(KI)マウスを作成し、Ripply3 KOマウスの表現型と比較することで、各アミノ酸モチーフの生体内における機能を顕在化しようと考えた。 Ripply3では、N末端側のWRPWとC末端側のFPVQというアミノ酸モチーフが保存されている。WRPWは転写抑制に関わるGroucho/TLE因子のリクルートに、一方FPVQはT-box型転写因子との相互作用に関与していると示唆されている。本年度は、ゲノム編集によりWRPWモチーフを全てアラニン(AAAA)に置換したWA-KIマウスの作成を試み2系統を選別した。現在それらからF2世代が得られている。一方、FPVQモチーフを全てアラニン(AAAA)に置換したFA-KIマウスは既に系統化が進んでいる。E10.5日のFA-KIホモ胚では第3,4咽頭弓の分節異常が観察され、E18.5日のKIホモ個体では胸腺の分離異常、心臓流出路の異常(心室中隔壁欠損、大動脈弓離断)といった、Ripply3 KOマウスと非常に似た表現型が観察された。今後、各KIマウスについて所定の発生段階の詳細な表現型解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ripply3の進化的に保存された2つのアミノ酸モチーフにぞれぞれ特異的に変異を導入したKIマウスの作成が順調に進んだ。現在、各KIマウスの繁殖・系統化を行い、所定の発生段階における咽頭弓分節と胸腺の表現型解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
各Ripply3 KIマウスの表現型解析を進める。Ripply3に対する抗体を作成し、免疫染色に使用できるものをスクリーニングする。内胚葉特異的なRipply3 欠損マウスの作成のため、Ripply3 floxマウスの繁殖を進める。
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Causes of Carryover |
ゲノム編集による各Ripply3 KIマウスの作成、およびスクリーニングが効率的に進められたため費用が抑えられた。次年度はそれらのKIマウスの繁殖および表現型解析に使用する。
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