2023 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭嚢からの胸腺の分離移動を制御するRipply3の機能モチーフと胚葉特異的役割
Project/Area Number |
19K07274
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大久保 直 北里大学, 医学部, 准教授 (10450719)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Ripply3 / 胸腺形成 / 内胚葉 / WRPWモチーフ / 心臓流出路 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、Ripply3のアミノ酸配列WRPWを全てアラニン(AAAA)に置換したWAマウスの表現型解析を進めた。WA ホモマウスは新生仔期にその多くが致死となるが、一部のホモ個体は生後も生存し成長した。4週齢のWAホモマウスの胸腺、心臓及び流出路の形態を調べた結果、それらの胸腺は両側とも心臓付近まで下降するが明らかな形態異常を示し、一部は片側胸腺の頸部残留を示した。一方、心臓流出路はほとんどが右鎖骨下動脈起始異常を示したが、心室中隔欠損(VSD)はみられなかった。FPVQに変異を導入したFAホモマウスの多くが胸腺の両側頸部残留とVSDを示し新生仔致死となるのとは対照的に、WAホモマウスは胸腺や心臓に多様な異常を示した。以上の結果から、WRPWとFPVQの両配列はRipply3の機能発揮に重要であるが、各配列を介して相互作用する分子の違いが影響し胸腺などの表現型の浸透度の差として表れている可能性が示唆された。 また内胚葉に発現するRipply3の役割を解明するため、内胚葉特異的なRipply3のコンディショナル欠損(cKO)マウスの表現型解析を行った。Ripply3 floxマウスとFoxa2-EGFP-creERT2マウスを交配し、咽頭弓が形成される前後のステージでcKOを誘導した結果、第1咽頭弓の形成前にcKOしたマウス胚のほとんどの胸腺は両側頸部残留を示し、大動脈弓離断も観察され、通常のRipply3 KOマウスと類似していた。一方、第3咽頭弓形成前後にcKOを誘導したマウス胚では胸腺の両側頸部残留は見られずほぼ正常な形態を示し、異常な心臓流出路の割合も大幅に減少した。以上の結果から、咽頭弓内胚葉で発現するRipply3は胸腺の分離と移動には必須であるが、時期依存的な役割があることが判明した。また心臓流出路などへの影響は細胞非自律的な作用であると示唆された。
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Research Products
(1 results)