2021 Fiscal Year Annual Research Report
胎児心臓においてミトコンドリア機能が心拍動開始時に果たす役割の機序の解明
Project/Area Number |
19K07286
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
當瀬 規嗣 札幌医科大学, 医学部, 教授 (80192657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達也 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40592473)
一瀬 信敏 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60448610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 胎児循環 / 興奮収縮連関 / 筋原線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓の拍動開始機構を解明するために、本研究では心拍動開始前後の胎児心筋のエネルギー代謝について、ミトコンドリア機能に着目し、心拍動維持と興奮収縮連関との関連性の解明を目的としている。 1年目では、心臓拍動開始後の心臓原基において、解糖系とペントースリン酸経路が活性化されること、ミトコンドリアの最大呼吸能は増加しないものの、ATP合成と共役する酸素消費が増加することを見出した。2年目では、解糖系とペントースリン酸経路を同時に制御しうるHIF-1シグナルを解析したところ、心臓拍動開始後の心臓原基ではHIF-1の転写活性が増加し、その蛋白発現が増加していたことが明らかとなった。また、pVHLの発現低下を介したHIF-1αの蛋白安定化が、心臓拍動後のHIF-1シグナルの活性化の機序の1つであることが示唆された。以上より、心臓拍動開始にはHIF-1シグナル活性化を介した代謝の制御が重要であることが示唆された。3年目である昨年度は、エネルギーと共に心拍動を担う心筋の興奮収縮連関を構成する収縮タンパク質の発現に着目し研究を行った。ラット胎仔の心拍動開始前、開始後、開始1日後の心筋の構造解析と心筋タンパク質のプロテオーム解析を行ったところ、拍動開始1日後の細胞では明確なサルコメア構造が観察され、開始後の一部の細胞にはデンスボディ様の未成熟な筋原線維が観察されるものの、開始前の細胞では筋原線維は観察されなかった。一方、プロテオーム解析の結果から、拍動開始前から開始後でアップレギュレートされたタンパク質の中で、約28%が筋原線維構成タンパク質、23%が筋原線維調節タンパク質であることが明らかとなった。以上のことから、心拍動の開始にはデンスボディ様の未成熟な筋原線維の出現と、筋原線維調節タンパク質の発現上昇が重要な要因となっていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)