2019 Fiscal Year Research-status Report
老化、不活動等による活性酸素産生および放射線被曝からの生体機能防御策の追求
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19K07291
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
大平 充宣 同志社大学, 研究開発推進機構, 客員教授(嘱託研究員) (50185378)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 老化 / X線被曝 / 活性酸素 / MnSOD |
Outline of Annual Research Achievements |
計画が進行中の火星の有人探査では、往復の微小重力環境での身体的不活動や宇宙放射線被曝が人体に悪影響を及ぼすことが憂慮されている。しかも、火星での探査はできるなら3か年継続したいという案もあり、地球離脱から帰還までの期間を考慮すると、加齢の影響も無視できない要因である。そこで、オス老化促進モデルマウス (SAMP1) を用いて実験を行った。DNA損傷などを誘発する恐れのある活性酸素産生および宇宙放射線のシミュレーションとしてのX線照射の影響を、manganese superoxide dismutase (MnSOD) 投与で抑制できるか否かを追求するものである。ほぼ8か月齢のマウスを任意に実験前群、X線照射または非照射群に分け、これらをさらにMnSOD投与または非投与群の5群に分けて、2か月間の実験を行った。X線投与は覚醒下で、0.2 gray/日、10分/日、週5回、1.0 grey/週実施した。MnSODは、0.01 mg/日/匹腹腔内投与した。コントロール群には、phosphate-buffered saline(PBS) を投与した。ヒラメ筋における網羅的遺伝子発現の解析 (RNA-Seq analysis) では、PBS投与群における老化に伴う顕著な遺伝子発現の変化 (up-またはdown-regulation) が見られたが、それらの変化はMnSOD投与により抑制されるという結果を得た。しかし、X線照射の影響により誘発される遺伝子のup-またはdown-regulationに対するMnSOD投与効果はマイナーであった。現在ヒラメ筋のみならず、他の臓器でもタンパク質発現等の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化マウスの作成には、かなりの時間を要するのが、大きな要因である。老化ラットの作成は現在進行中であり、間もなく実験を開始できると思う。
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Strategy for Future Research Activity |
SAMP1マウスから採取した各種臓器における遺伝子またはタンパク質発現分析等を進める。また、現在飼育中のWistar Hanovver ratsを使った実験にも早く着手したい。
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Causes of Carryover |
昨年度は、人類初の月面着陸から50年を記念して、「宇宙神経科学 "Space Neuroscience"」というタイトルでの総説特集号を発行しようと、NASAのDr. Arianna Raccaから執筆依頼を受け取り、承諾した。しかし、昨年度後半に発生した新型コロナウィルスの影響が世界中に広まってしまい、企画は今年度に延期された。従って、投稿料等として予定していた予算執行を、今年度に繰り越すことにした。
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Research Products
(16 results)