2020 Fiscal Year Research-status Report
超解像イメージングと電気生理で解明する、神経でのCa依存性Kチャネル新規調節機構
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19K07295
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
入江 智彦 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 主任研究官 (20546551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Kv2 |
Outline of Annual Research Achievements |
すべての電位依存性カリウム(Kv)チャネルの中で、Kv2チャネルは哺乳類の脳で最も広く発現している。ただし、ニューロンのKv2の研究は、高選択性遮断薬がないために困難であった。最近、ペプチド毒素であるguangxitoxin-1EがKv2の特異的阻害剤として同定され、ニューロンにおけるKv2の研究が容易になった。哺乳類の背側蝸牛神経核(DCN)は、聴覚と体性感覚の情報を統合する。DCNでは、カートホイール抑制性介在ニューロンは、体性感覚情報を伝達する平行線維から興奮性シナプス入力を受け取る。平行繊維の活性化は、生体内で最大130 Hzのカートホイール細胞の活動電位を駆動し、カートホイール細胞の興奮は主要細胞の強力な抑制につながる。また、カートホイールセルは、モノラル音の定位と自己生成音の検出のキャンセルに重要な役割を果たす。ただし、Kv2がカートホイールセルの高周波発火をどのように制御するかは不明である。この研究では、PFA固定したマウス脳幹スライス標本を使用して、抗Kv2.1および抗Kv2.2抗体で免疫蛍光標識を行った。結果は、Kv2.1とKv2.2が主にカートホイール細胞体膜に存在したが、軸索のイニシャルセグメントにも近位樹状突起にも存在しなかったことを明らかにした。マウス脳幹スライス標本とguangxitoxin-1Eを使用したホールセルパッチクランプ記録では、平行繊維が高周波(30-100 Hz)で刺激された場合、Kv2の阻害が平行繊維誘発活動電位の障害を引き起こす事を示した。したがって、カートホイール細胞の細胞体に存在するKv2は、周波数依存的に活動電位を調節し、DCNの機能において重要な役割を果たす可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DCNにおけるKv2の役割を蛍光免疫染色とホールセルパッチクランプ法を用いて明らかにし、その研究成果を英文学術論文に報告したから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞内Caストアと関連がある、代謝型グルタミン酸受容体のDCNにおける役割を検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
実験動物を購入では無く自家繁殖とした事、コロナ禍による学会不参加、試薬の徹底した節約と無駄の無い研究計画を立てた結果、次年度使用額が生じた。 使用計画は、老朽化した機器のリプレースに充てる。
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