2019 Fiscal Year Research-status Report
心筋虚血時の不整脈発生にミトコンドリア内膜コネキシン43が果たす役割の解明
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19K07298
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
三浦 昌人 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30302110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 遥 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90803883)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | コネキシン43 / 不整脈 / 細胞内カルシウム / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
コネキシン(Cx)43の有無がカルシウム動態、活性酸素(ROS)産生、催不整脈性に影響を与えるのかどうかについて明らかにした。 1) 張力と細胞内カルシウムの測定、不整脈の誘発 心筋特異的Cx43欠損マウスではミトコンドリア内膜においてCx43が発現しておらず、そのリッターメイトマウス(コントロールマウス)では発現がみられた。両群マウスより摘出した多細胞心室筋であるトラベクラにおいて、サルコメア長2.0 μmでの電気刺激による発生張力、細胞内カルシウム(fura-2)変化、細胞膜電位に有意差は認めなかった。細胞外液カルシウム濃度を1 mMから1 mMずつ増加させながら、 0.3秒間隔30秒間の電気刺激による不整脈発生の有無を確認したところ、心筋特異的Cx43欠損マウスでは、コントロールマウスに比べて、有意に低い細胞外液カルシウム濃度で不整脈が誘発された。この不整脈誘発外液カルシウム濃度の低下は、KATP開口薬(diazoxide)の投与によって抑制された。 2) カルシウム・スパーク頻度、ミトコンドリア膜電位、ミトコンドリア内ROS産生の測定 両群マウスの単離心筋細胞を用いてカルシウム・スパーク(fluo-4)頻度、2秒と0.4秒間隔の電気刺激によるROS産生(2’,7’-dichlorofluorescein;DCF)、ミトコンドリア膜電位(TMRM)を記録した。心筋特異的Cx43欠損マウスでは、コントロールマウスに比べて、カルシウム・スパーク頻度の増加、ROS産生の増加、ミトコンドリア膜電位の脱分極を認めた。これらの変化はKATP開口薬の投与によって抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋特異的Cx43欠損マウスとコントロールマウスより得られた多細胞心室筋と単離心筋細胞を用いた研究が予定通りに進んでいる。両群マウスにおける催不整脈性、細胞内カル シウム、カルシウム・スパーク頻度、活性酸素、ミトコンドリア膜電位を記録することにより、ミトコンドリア・コネキシン43の催不整脈性への役割が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1)単離ミトコンドリア内におけるカルシウム濃度と活性酸素産生の測定 ミトコンドリア単離キット(BIOCHAIN)を用いて、心筋特異的Cx43欠損マウスとコントロールマウス心室筋のミトコンドリアの単離を行う。ミトコンドリアへのカルシウム流入の抑制(Ru360)と排出の抑制(CGP-37157)によるミトコンドリア内カルシウム(Calcium green-5N)と活性酸素産生の変化を記録し、次に、KATP開口薬と阻害薬、Cx43開口薬の投与による変化を明らかにする。 2)Cx43の有無による催不整脈性における活性酸素の役割 SS-31はミトコンドリア内の活性酸素産生を低下させることが報告されている。両群マウスに3 mg/kg SS-31を6週間腹腔内投与した後に、トラベクラと単離心筋細胞を用いて催不整脈性、細胞内カルシウム、カルシウム・スパーク頻度、活性酸素、ミトコンドリア膜電位を測定する。更に、単離ミトコンドリアを用いてミトコンドリア内カルシウム(Calcium green-5N)と活性酸素産生の測定を行い、活性酸素産生の低下がCx43欠損による催不整脈性の変化に与える影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、学会や研究会が中止・延期となり、予定していた旅費や学会参加費を使用できなかったために、次年度使用額が生じた。日本循環器学会のように延期となった学会の参加に次年度使用することとする。
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