2021 Fiscal Year Annual Research Report
筋と骨のネットワーク機構におけるWnt-βカテニン経路阻害因子の役割の解明
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19K07310
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 講師 (70388510)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨粗鬆症 / サルコペニア / マイオカイン / Dkk2 / 筋骨連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、メカニカルストレスの変化によって骨格筋で発現が変動する体液性因子として、古典的Wnt-βカテニン経路の阻害因子であるDickkop (DKK)2に着目し、メカニカルストレスによって誘導される筋と骨の相互連関におけるDKK2の役割と作用機序を検討することを目的とする。これまでに、マウスにおいて、メカニカルストレス低下により、筋DKK2発現および血中DKK2濃度が増加し、さらに、筋DKK2発現および血中DKK2濃度は海綿骨骨密度と負の相関を示すことを見出している。また、in vitroの実験により、DKK2は骨芽細胞分化の抑制とRANKLを介する破骨細胞形成の促進によって骨量を減少させる機序が示唆されている。昨年度は、精巣摘出モデルマウスを用いて、アンドロゲン欠乏による骨粗鬆症病態におけるDKK2の役割について、筋骨連関の視点から検討した。精巣摘出によるアンドロゲン欠乏によって、筋DKK2発現および血中DKK2濃度が有意に増加した。さらに、実験に用いたマウスにおける単相関分析により、血中DKK2濃度は脛骨の海綿骨骨密度と負の相関を示した。マウス筋芽細胞株C2C12細胞において、テストステロンはDKK2発現を抑制した。本研究課題の成果より、メカニカルストレス低下およびアンドロゲン欠乏による骨量の減少に、筋でのDKK2発現増加が寄与することが示唆された。さらに、DKK2はメカニカルストレス低下および男性ホルモン低下による骨粗鬆症およびサルコペニアの新しいバイオマーカーおよび治療標的になる可能性が示唆された。
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