2019 Fiscal Year Research-status Report
心臓線維化薬物治療法の開発を指向したアルギニンメチル化酵素PRMT5の機能解析
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19K07325
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
刀坂 泰史 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00583973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心不全 / 線維化 / アルギニンメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性心不全はQOLを低下させ、世界的にみても主要な死亡原因であり、超高齢化社会において取り組むべき重要課題である。慢性心不全の発症と進展において重要なリスクファクターである心臓線維化には、エピジェネティックな制御機構が寄与しているが、この制御機構はいまだ解明には至っていない。本研究では遺伝子改変マウスおよび初代培養細胞を用いて、心不全におけるPRMT5の機能とそのメカニズムを解明し、さらに心不全モデル動物に対するPRMT5阻害剤の薬理効果を明らかにする。 Postn-CreまたはCol1a2-CreマウスとPRMT5-floxマウスを交配し、線維芽細胞特異的PRMT5-KOマウスを作成した。大動脈狭窄術を施した圧負荷応答性の心不全マウスモデルを作成し、超音波検査にて心機能を評価した。さらに心臓を摘出し、遺伝子発現解析 (Col1a1, alpha-SMA) および組織学的評価 (ピクロシリウスレッド染色) を行い、心不全に伴う線維化を評価した。 圧負荷応答により、心機能の減少がみられた。さらにPrmt5flox/floxマウスと比較して、線維芽細胞特異的PRMT5-KOマウスにて心機能の減少が改善した。さらに遺伝子発現解析の結果、圧負荷にて亢進した線維化関連遺伝子の発現が線維芽細胞特異的なPRMT5のKOにて減少した。同様に組織学的評価の結果、圧負荷にて亢進した線維化が線維芽細胞特異的なPRMT5のKOにて減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度計画案の7-8割程度の研究は問題なく進んでおり、概ね計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
PRMT5が心臓線維芽細胞における遺伝子発現制御にどのような役割を担っているのか、その詳細な分子機構について検討する。具体的には心臓線維芽細胞を初代培養し、PRMT5のノックダウンまたはPRMT5阻害剤を添加し、線維化誘導因子であるTGF-beta 刺激後の線維化マーカーの遺伝子発現変化について評価する。さらにTGF-beta刺激後のヒストン修飾 (H3R2、H4R3の対照的ジメチル化) についてウエスタンブロットおよびChIPアッセイにて検討する。またTGF-betaシグナル伝達因子であるSmad3とPRMT5との分子間相互作用について免疫沈降法 (IP-WB) にて検討し、PRMT5の線維化制御メカニズムを明らかにする。PRMT5特異的阻害剤EPZ015666をアンギオテンシンIIまたは大動脈狭窄術を施した圧負荷応答性の心不全マウスモデルに投与する。遺伝子改変マウスでの実験と同様に超音波検査、解剖評価、遺伝子発現解析、生化学的および組織学的評価を行う。
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Research Products
(1 results)